2020 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on the Construction of Communities of Interests through Participatory Cultural Performances in the "2.5-Dimensional Culture"
Project/Area Number |
17K18459
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
須川 亜紀子 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (90408980)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 知子 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (00334847)
田中 東子 大妻女子大学, 文学部, 教授 (40339619)
岩下 朋世 相模女子大学, 学芸学部, 教授 (70533818)
川村 覚文 関東学院大学, 人間共生学部, 講師 (30713169)
筒井 晴香 玉川大学, 教育学部, 非常勤講師 (90760489)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | 2.5次元 / ファン研究 / ファンダム / コミュニケーション / ポピュラー文化 / ジェンダー / 身体 / トランスナショナルな共同体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトは、2019年度で終了する予定のところ、新型コロナウィルス感染拡大により、やむを得ず1年延長し、今年度が最終年度となった。 最終年度である2020年度は、これまで蓄積した調査の分析、まとめに大部分をあて、「2.5次元」という文化領域が、舞台、コンサート、コスプレなどファンの間で実践される2.5次元空間において、どのような消費、利用のされ方をし、またそこにSNSなどの即時性のあるメディアや、VR、ARなどの技術の影響が「2.5次元」理解にどのように寄与しているのかの解明を試みた。 その成果を、2021年3月にオンラインで開催した「科研費学会・第6回2.5次元文化を考える公開シンポジウム~2.5次元研究の最前線」で発表した。各発表を通じ、以下の3点が特に顕著な特徴として提示された。①「2.5次元」空間(現実と虚構の曖昧な領域とその領域におけるファンの文化実践)は、大衆文化の発達とともに古くからその萌芽がみられているが、2000年代初頭からのネット、SNS、映像技術の発展によりそれが拡大、加速化した。「メディアミックス」という多メディアによるコンテンツ展開で顕著になったキャラクター中心の消費が常態化するにつれ、「2.5次元」空間の構築は同時多発的、スポット的になっている、②ファンが「2.5次元」空間を共有し、オンライン、オフラインでつながる共同体は、「嗜好」=好き、推すという極めて主観的で可逆性のある感情や共感をベースに構築され、そこには出自、ジェンダー、国籍、宗教的価値観などを超えたトランスナショナルな共同体が生まれている、③現実と虚構の境界線が消失するハイブリッドリアリティ下において、人間(ファン、演者)とV-tuberやホログラムなど実体のない(と思わせる)動くキャラクターの「身体」をめぐる問題が、ポストヒューマンの問題意識からとらえ直す課題がみえた。
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Research Products
(20 results)