2019 Fiscal Year Research-status Report
日本歴史的典籍のSNS型電子テキストアーカイブ・プラットフォーム構築研究
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17K18495
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
赤間 亮 立命館大学, 文学部, 教授 (70212412)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | くずし字翻刻 / 古典籍 / グループ学習 / オンライン研究会 / オンライン講義 / ディープラーニング / AI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、歴史的典籍テキストアーカイブの現場として、1,海外日本研究者、2,大学等の高等教育機関、3,地域の歴史・文学愛好者という3つのフィールドを明確に定めた。技術的には、ディープラーニング技術を導入した「AIくずし字解読教育・支援システム」の開発が実用段階に達した。昨年度、海外の日本研究者のグループで実施した実証実験を踏まえ、本システムを本学の授業内で実際に活用しながら、さらなる改良を加えた。 海外では、5月蘭国・ライデン大学の国際研究会、8月英国・ケンブリッジ大学の日本古典籍サマースクールの講義枠で、くずし字解読プラットフォームの現状を紹介した。9月米国・UCバークレー校で、本課題主催によるくずし字ワークショップを開催し、学内学生・研究者だけでなく、周辺大学の研究者も参加した。11月には、日本近世文学会において、授業での実践結果の報告を行った。国内では、12月・1月に舞鶴市において、地域文化資源を対象としたくずし字ワークショップを実施、高校生から舞鶴市の文化財保有者、一般市民、周辺自治体からも参加者を得た。なお、舞鶴市のイヴェントは、文化庁の「大学・研究機関等との共同研究事業」と共同し、地域文化の活動の創生を目的の一つとした。 上記を承けて、「解読支援」システムは、アート・リサーチセンター(ARC)データベース群の内、浮世絵、古典籍、文化資源、番付への登載を完了。さまざま歴史的典籍のすべてに対応できるようになった。また、翻刻対象典籍がIIIFで公開されている場合ドラッグ&ドロップで、簡単にARCデータベースへの取り込みが可能となり、AI解読支援機能を含む翻刻テキストプラットフォーム上でアーカイブ出来るようになった。 また、ARCヴァーチャルインスティチュートに「古典籍デジタル研究所」を開設し、「古典籍翻刻プロジェクト」の中でDEMOプロジェクト他をスタートしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年の報告の通り、ほぼ1年の遅れがあったので全体としては、遅れが残る段階であるが、本年度は、それを補う大きな進捗を得られた。本課題が目指すプラットフォームは、単発の利用では効果が少なく、継続的な利用を必要とする利用者を開拓する必要がある。そのため、日本だけでなく、海外での利用拠点作りを目指しているが、3月に入って新型コロナ禍の影響が出て、予定していたワークショップと2020年度の活動の打合わせがキャンセルになっている。なお、本報告を執筆段階で、2020年度の海外での展開が不透明なままである。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、コロナ禍の混乱のため、イヴェント型普及活動に限界が出ている。しかし、文系研究者等にもオンライン会議システムの普及が進んでおり、日常生活の制約から解放された段階で、オンライン型で活用でき、今後大規模に普及するであろう大学等でのオンライン授業でも十分に活用できるよう講義システムとしても改良していく。
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Causes of Carryover |
初年度活用開始となるはずだった「くずし字解読エンジン」の開発が1年遅れたため、本格的なSNS型翻刻実験の開始時期が1年ずれ込んでいる。また、研究代表者は、個人的な諸事情により、ほぼ1年遅れの研究進捗となっている。2019年度は1年間の研究活動としては、十分は成果を残したが、最終月は新型コロナ禍により、予定していた打合わせが実施できなくなるなど、遡及回復することのできないまま、最終年度に至った。2020年度は学外研究のため、研究活動に集中できるため、事業目標以上の成果を得られることが確実なので延長した。 2020年度は、オンライン型システムとして大学授業等での実用化をさらに進展、タブレット利用者へのインターフェイス開発、オンライン型を含むワークショップの継続的実施による、システム利用者のリクルートと定着を行う。 なお、コロナ禍の影響は、報告書執筆現在も続いているが、9月以降本格的に研究遂行を行いたい。
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Research Products
(15 results)