2018 Fiscal Year Research-status Report
Concept Analysis of Freedom Using Popular Songs as Text
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17K18548
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
河野 勝 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (70306489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷澤 正嗣 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (20267454)
西川 賢 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (10567390)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 政治理論 / 自由 / テキスト分析 / ポピュラー音楽 / 北米 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、北米で親しまれるポピュラー音楽の中で、自由がどのように表現されてきたかを分析することを通して、この概念が一般の人々の日常の生活の中でどのように受容され発展してきたかを実証的に跡付けることである。本研究の計画は、データセット構築、テクスト分析、ケーススタディという三つの柱によって構成される。今年度は、初年度から引き続いてデータセット構築を進め、また若干のテクスト分析を試みた。データセット構築については、初年度においてはビルボード年間チャートの上位20 曲の歌詞に限定していたが、その中に自由という言葉が含まれている曲数が少なかったことが判明したことから、今年度は上位40曲まで拡張することにした。さらに(単発的に人気のあった曲でなく)長い歌い継がれている曲のリストとして、ローリングストーンズ誌が選ぶベスト500曲の歌詞も、テクストデータ化することにした。テクスト分析はまだ初歩段階にあるが、それを始めたところ、初年度におけるデータクリーニングが完全でないこと、しかもマニュアル操作でしか解決できない問題が残っていることが判明したので、今年度はこの修正作業に多くの時間と労力を割くことになった。ケーススタディに向けた、北米での音楽関係者に対するインタヴューは、2都市で行うことができ、そのうち数人からはフォーマルなサーベイに対する回答を得ることもできた。また、研究協力者に米国オクラホマ州タルサ大学にボブディランの資料を集めたアーカイブを訪問してもらい、それらを閲覧して、関係のある楽曲については資料を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、初年度(昨年度)中に、音楽誌の選定、ランキングの確定、さらに歌詞のデータ化を重点的に進めることを予定し、昨年度の終わりの時点ではこの作業が順調に達成されたようにみえた。ところが、今年度、そのデータを用いて予備的なテキスト分析を開始したところ、データクリーニングが完全でなく、マニュアル操作でしか修正できない問題が多く残っていることが判明した。そこで、この修正作業に多くの時間と労力を費やさざるを得なくなった。また、当初は、ビルボードの各年の上位20曲に限定していたが、その中には自由という言葉が登場する曲が少なく、それを上位40曲に拡張することにした。さらに長い歌い継がれている曲のリストとして、ローリングストーンズ誌が選ぶベスト500曲の歌詞も、テクストデータ化することにした。これらの作業が加わったことにより、データセット構築が予定よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、(上記のような理由で)まだ完成していないデータセットの構築を、早い段階で終わらせることを最優先に進める。2019年5月から6月の1ヶ月間、本研究に海外から協力してくれているハワイ大学のSun-ki Chai 教授が訪日することが決まっているので、その機会を利用して、データ分析を集中的に進めていく。2019年9月には、政治学のテキスト分析に関わる大きな国際学会(POLTEXT)が、たまたま代表者の所属する早稲田大学において開かれるので、そこで本研究課題の分析結果を報告することにする(申請をし、すでに申請が通っているとの通知は受けている)。なお、この報告書を作成している時点の前の2019年5月初旬には、ニューヨーク市を訪れ、ストリートミュージシャンたちにインタヴューを試みたので、すでに終わっている他の都市からのサーベイ結果と集計する作業を始める。そして、特にこうした音楽関係者に好まれている楽曲の魅力や背景について、ケーススタディを行っていくための討議を分担者や協力者と進めていく。
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Causes of Carryover |
当初雇用することを予定していたリサーチアシスタントが、学振特別研究員となったので代役を立てざるをえず、雇用開始時期が遅れたこと、またその代役の雇用時間が限られたことによって、人件費の支出が大幅に少なくなった。また、当初予定していた北米の音楽関係者へのインタヴューについては、二時間を超える長いものを想定していたが、現地を訪れてみて、ストリートミュージシャンへのインタヴューは極めて短い時間ですることが現実的であると判断したので、その謝金を大幅に減額したことで、謝金の支出も少なくなった。
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