2019 Fiscal Year Annual Research Report
The effect of listening to high-resolution digital audio on cognitive function
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17K18702
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
入戸野 宏 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (20304371)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 実験系心理学 / 心理生理学 / 聴覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度に行った自然環境音(森の中で録音されたデジタル音源)に含まれる高周波成分の有無とサンプリング周波数の高低が心理生理反応(脳波・自律神経系活動・主観評定)に与える効果を調べた実験データを再分析し,論文として投稿した。高周波音成分の有無はまったく影響しないが,サンプリング周波数の高低は脳波だけに影響を与えることが示された。すなわち,サンプリング周波数が高い音(192 kHz)を聞いているときは,低い音(44.1 kHz)を聞いているときに比べて,4-10.5 Hzの脳波パワーが高かった。 また,昨年度にミスマッチ陰性電位を測定した実験で用いた刺激(ホワイトノイズバースト)を使って,オリジナル音源と可聴域を超える周波数成分をカットした音源の弁別を訓練させる実験を行った。1週間訓練したが,一貫した成績の向上は認められなかった。 さらに,クリック(持続時間0.1 ms)を聴覚刺激として用いて,ハイカットフィルタの有無とサンプリング周波数の高低(192 kHz vs. 44.1 kHz)が聴性脳幹反応(内耳から聴覚皮質までの聴覚伝導路の神経反応)に与える効果を検討した。その結果,ハイカットフィルタ自体の効果はなかったが,サンプリング周波数を下げると蝸牛神経が反応する潜時が短くなる(つまり,音のオンセットがぼやけて,実際よりも早いタイミングで生じる)ことが示された。 一連の研究の結果,ハイレゾ音源の優位性は,高周波音成分を再現できることではなく,時間的な音の歪みを小さくできる可能性にあることが示唆された。時間的歪みが与える影響の大きさは,音源の種類(周波数構成や倍音構造など)にも依存すると考えられる。
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Research Products
(7 results)