2018 Fiscal Year Annual Research Report
Color environment adequate for dichromacy
Project/Area Number |
17K18706
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
須長 正治 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (60294998)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 2色覚 / 視覚探索 / 色覚異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
色覚には多様性があることが知られている.2色覚と呼ばれる色覚特性は見分けられない色を持つため,色覚異常と称され,3色覚より劣った特性であると見なされている.しかし,我々は,S錐体刺激値を手がかりとした視覚探索において,全体が赤みがかる,あるいは,緑みがかるという特定の条件であると2色覚の方が優れたパフォーマンスを示すことを報告した.このような特定条件の要因を解明することは,色彩環境デザインにおいて有益な知見となる.また,色域全体の視覚探索能のパフォーマンスを見ると,2色覚の視覚探索パフォーマンスはさほど変化せず,3色覚の視覚探索パフォーマンスが落ち,相対的に2色覚が優位になることがわかった.さらに,視覚探索課題における目標刺激と妨害刺激の色を変化させながら,なぜ,刺激全体が赤みがかる,あるいは,緑みがかると3色覚の視覚探索パフォーマンスが落ちるのかについて,色弁別能と色カテゴリ分類能の観点から2色覚の特性と比較しながら,検討を行った.その結果,2色覚優位となる色条件は色弁別能では説明することができず,色カテゴリの影響が認められたものの,その要因だけでは説明できないことを明らかにした.要因解明については,まだ課題が残るものの,色弁別特性では説明できず,色カテゴリの影響が少なくとも存在することを明らかにしたことは新しい知見である. 本研究を通して,2色覚は色覚機能の全ての面で劣っている訳ではないことが明らかになった.特に,全体的に赤みがかるまたは,緑みがかった情景の中では,S錐体刺激値を手がかりとした視覚探索において3色覚よりも優れたパフォーマンスを示すことが明らかになった.このような環境が現実の自然界に存在するのかどうか合わせて,今後検討していく必要があると考える.
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