2020 Fiscal Year Research-status Report
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17K18731
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
中井 英一 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 教授 (60259900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉坪 茂彦 弘前大学, 理工学研究科, 客員研究員 (50003512)
藤間 昌一 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 教授 (00209082)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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Keywords | フーリエ級数 / 調和解析学 / 解析的整数論 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、すべての出張を取りやめ、研究打合せはパソコン等を用いて遠隔通信で行った。 多変数フーリエ級数の収束問題について、研究代表者と倉坪茂彦、大坪和弥が、原点を中心とする球の定義関数のフーリエ級数に対して用いた方法、すなわち、フーリエ級数を Gibbs (Gibbs-Wilbraham) 現象、Pinsky 現象、倉坪現象の3つに分解する方法を用いて、研究を進めた。原点からの距離にのみ依存する関数で、しかも、Taylarが用いた2次元波動方程式の基本解を高次元に一般化した関数に関して、その球形部分和の各点における収束・発散について研究を行い、これまで未解決であった4次元の場合について、大坪和弥、藤間昌一による数値実験の結果も含めて論文にまとめた。これまでは、5次元以上のときに倉坪現象が発生することが証明されていたが、この論文により、4次元でも倉坪現象が発生することが背理法で証明された。その際、これまでに得られている解析的整数論(格子点問題)の結果を用いて証明を行った。これは数値実験の結果と一致したものである。 ガウスの円問題について、藤間昌一が中心となって昨年度行った、東京大学のスーパーコンピュータ Oakforest-PACS および Oakbridge-CX による数値実験の結果を吟味し、論文にまとめるべく検討した。円の面積と格子点の個数との誤差について、100年来の未解決問題である「Hardy 予想」に対して、この予想に近い誤差となる円の面積は、自然数の2乗に比例して繰り返し現れると考えられるが、特にどのような自然数の場合に予想誤差に近いかを、実験の結果から推測し検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの流行が収束せず、遠隔で研究打合せを行い、論文を1篇まとめることができたが、出張を伴う研究打合せができず、あとひとつ予定していた論文をまとめることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
ガウスの円問題について、2021年度に東京大学に導入される新しいスーパーコンピュータ Wisteria/BDEC-01 を用いて、数値計算をさらに実施して結果を整理し、多変数フーリエ級数の収束問題とともに、研究組織全体として、とりまとめを行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの流行が収束せず、予定していた出張を伴う研究打合せや研究発表ができなかったため、未使用額が生じた。2021年度に東京大学で新しいスーパーコンピュータ Wisteria/BDEC-01 が導入されることになったので、残りの予算をこのスーパーコンピュータ使用料に支出して、さらに計算を行い、より優れた成果を目指すことにした。
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Research Products
(2 results)