2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K18803
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西田 民人 名古屋大学, 環境学研究科, 助教 (60313988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三村 耕一 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (80262848)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 有機地球化学 / 隕石有機物 / 地球化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、隕石中に含まれる有機物のうち、溶媒により抽出可能な「可溶性有機物(Soluble Organic Matter, SOM)」ならびに溶媒に不溶な「不溶性有機物(Insoluble Organic Matter, IOM)」について有機分子種同定のための新たな方法を開発・提案する。具体的には、隕石中に含まれるSOM、IOMおよびIOMを加水分解して遊離する有機物をポリエチレンイミン(非脂質性ポリカチオン分子)と共有結合させ高分子誘導体として得たのち、核磁気共鳴法により、「隕石中に含まれるSOM、IOMおよびIOMを加水分解して遊離する有機物を高分子誘導体の官能基として捉え、その組成を明らかにする」ことで、隕石有機物を構成する分子種を明らかにする。 初年度にあたる本年度は、ポリエチレンイミンと低分子量海洋溶存有機物の官能基を化学結合させるための反応についてモデル物質(試薬)を用いて条件検討をおこなった。 ポリエチレンイミンは、水溶性のポリマーであるため、ポリエチレンイミン水溶液を調製し反応に供した。隕石有機物試料との反応を想定した場合、液体および固体試料が反応対象物となりうるため、反応操作についてその両方を検討した。モデル物質としては、ポリエチレンイミンと反応するアルデヒド基、ケト基およびカルボキシル基等を有する様々な有機化合物を使用し、反応生成物の構造解析は、核磁気共鳴分光法を用いて行った。隕石試料には多量に無機塩が含まれるため、反応への影響を考慮する必要があることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高分子誘導体化法を実際の隕石試料を想定した岩石試料に適用したところ、ポリエチレンイミン添加量、塩濃度、pH、反応温度などにより反応進行度が異なる場合があった。これら様々な条件下でポリエチレンイミンと反応させ、至適条件の検討を行う必要がある。また隕石には多量に無機塩が含まれるので、反応への影響を考慮する必要がある。その一方で反応物質の選択性は小さい方法であることが判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
高分子誘導体化法を隕石試料に適用するにあたり、岩石中の有機物について反応の選択性は小さいことが分かった。反応効率および反応生成物の構造の異同についての情報を得ながら、実際の隕石試料を対象とした場合の反応条件を決定することで広範な情報が得られる可能性がある。ポリエチレンイミン添加量、塩濃度、pH、反応温度などにより反応進行度が著しく異なる場合も想定される。実際の隕石試料を対象とした場合の反応条件を決定する。隕石には多量に無機塩が含まれるので、ポリエチレンイミン添加量、塩濃度、pH、反応温度などにより反応進行度が著しく異なる場合も考えられるため、様々な条件下でポリエチレンイミンと反応させ、反応への影響を考慮しながら実際の隕石試料への高分子誘導体化条件検討し、実際に適用する。
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Causes of Carryover |
本研究において適用した高分子誘導体化法の適用可能物質が当初予想していた広範にわたることが判明したため、分析よりも条件検討に注力し、初年度の使用額が当初を下回った。本年度の研究で条件検討後に行う分子レベルの構造解析をより精密化できることも判明したため、次年度の早期に分析を行う予定である。
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