2018 Fiscal Year Research-status Report
Development on nano-scale multi-element isotope microscope and an application for nucleosynthesis based on the meteorite analysis
Project/Area Number |
17K18805
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
寺田 健太郎 大阪大学, 理学研究科, 教授 (20263668)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河井 洋輔 大阪大学, 理学研究科, 助教 (90726671)
|
Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
|
Keywords | 同位体分析 / 局所分析 / SIMS / 元素の起源 / 太陽系 / 地球外物質 / 微量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポストイオン化を新機軸としたナノスケール同位体質量分析装置を開発し、1μm以下のプレソーラー粒子一粒一粒について微量元素の同位体分析を行うことを目的としている。今年度は平成30年6月18日に発生した大阪北部地震により、装置の主要構成部である質量分析計の高圧パルス電源および高速デジタイザが故障したため、大きな進展は得られなかった。 そのような制約の中で今年度は、イオンビーム走査機能およびパルスタイミング制御について、それらを外部操作する機構の開発を行った。前者は同位体イメージング像を取得するために必要な開発要素であり、後者は高質量分解能で、かつ広い質量範囲の分析を行うために必須の機構である。 SoC-FPGAの評価用ボードを用い、イオンビームの走査信号とパルスタイミング信号を同期して出力する外部制御回路を構築した。まだ各機能単体での評価しか済んでいないが、イオンビーム走査による同位体イメージングでは、100nmの空間分解能で像を得ることに成功した。開発をさらに進めていくことにより、隕石中からin vovoな形でプレソーラー粒子を同定することができるようになる。 これとは別に、新規スペクトル取得法の開発と実装、その性能評価を行った。従来行っていた、波形積算およびイオンカウンティング法を組み合わせることで、低濃度から高濃度の同位体元素を、同時に、高い定量性を維持したまま分析可能であることを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年6月18日に発生した大阪北部地震により、装置の主要構成部である質量分析計の高圧パルス電源および高速デジタイザが故障し、また同年9月4日の台風の影響で発生した瞬間停電の影響で、同じく主要構成部である1次イオン源が故障した。そのため、長期間にわたり分析装置を動作させることができなかった。高圧パルス電源と高速デジタイザについては補正予算による措置で一部が復旧し、今後平成31年度にかけて新規購入する予定であるが、1次イオン源の修理には本予算を使用する他なかった。計画に無い支出であり、当初予定していた開発に使用する予算が大幅に縮小した。
|
Strategy for Future Research Activity |
同位体イメージング像を取得するためのイオンビーム走査機能、広い質量範囲の分析を行うために必要なパルスタイミング制御機能、および定量性の高い分析を行うために必要な新規スペクトル取得法といった、本計画を達成するのに必要な開発要素の一つ一つは出来上がりつつある。今後はそれらの開発をさらに進め、その性能をさらに向上させる。その後、これらの機能を一つに統合し、同期して動作させることを目指す。さらに微量元素の同位体分析には、分析装置のさらなる高感度化が必要であるため、レーザー光学系の再検討を行う予定である。これらの開発と並行してプレソーラー粒子の分析を行う。まずは模擬試料を用いて最適な分析条件を探索し、その後、実際に隕石中から抽出した粒子の分析を行う。
|
Causes of Carryover |
平成30年6月18日に発生した大阪北部地震により、装置の主要構成部である質量分析計の高圧パルス電源および高速デジタイザが故障し、また同年9月4日の台風の影響で発生した瞬間停電の影響で、同じく主要構成部である1次イオン源が故障した。そのため、長期間にわたり分析装置を動作させることができなかった。高圧パルス電源と高速デジタイザについては補正予算による措置で一部が復旧し、今後平成31年度にかけて新規購入する予定であるが、1次イオン源の修理には本予算を使用するなど、予算計画の変更を余儀なくされたた。計画自体は、おおむね順調に進展しており、最終年度は分析装置のさらなる高感度化を目指す。
|
Research Products
(8 results)