2017 Fiscal Year Research-status Report
High temperature nanosciences using high energy loss of metallic nanostructures
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17K18839
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
矢野 隆章 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (90600651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮地 輝光 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (40452023)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | プラズモニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、試料表面上の微小領域における新奇な熱物性を見出し、そのメカニズムを解明することである。初年度はまず、金属薄膜表面での光熱特性を評価した。8nmの厚さの銀ナノ薄膜表面に532nmの波長のレーザー光を高NAの対物レンズを用いて集光照射しながら、暗視野顕微鏡を用いて銀薄膜表面を観察した。その結果、集光照射した場所の薄膜表面の散乱色が変化することがわかった。集光照射後に薄膜表面の暗視野顕微スペクトルを測定したところ、そのプラズモン共鳴波長が50nm程度変化していることがわかった。これは、銀薄膜内の銀ナノ粒子間のギャップにおいて局在型の表面プラズモンポラリトンが励起された際に発生したプラズモン光誘起熱によって銀ナノ粒子の構造が熱変形したことに起因する。また、レーザー光を1分間照射し続けると、銀白状の熱変形箇所がレーザー集光位置を中心に同心円状に拡大することが観察され、数百マイクロメートルの領域に渡って銀薄膜表面がアニーリングされることがわかった。レーザー照射時の銀薄膜表面の温度を計測したところ表面温度は300℃以上であることがわかり、その表面温度はレーザー光の強度に依存することがわかった。さらに、銀薄膜表面がアニーリングされる領域は銀薄膜を作製した基板の熱伝導性にも依存することがわかり、プラズモンの励起に伴う光熱効果によって貴金属ナノ構造の光物性を制御できることが示された。有限要素法を用いた計算解析も並行して行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり、貴金属ナノ構造の熱物性を測定・解析できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、種々の形状およびサイズの貴金属ナノ構造のナノスケール領域における熱物性を実験と理論の両面から解明する予定である。
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