2017 Fiscal Year Research-status Report
Removal of arsenic and fluoride from drinking water and hot spring waste water by co-precipitation with magnesium hydroxide in electrolysis
Project/Area Number |
17K18910
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
川上 智規 富山県立大学, 工学部, 教授 (10249146)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | フッ素 / ヒ素 / 電解法 / バングラデシュ / 温泉排水 |
Outline of Annual Research Achievements |
バングラデシュのRajishahi大学においてバッチ式の電解装置を用いて現地の複数の井戸水中のヒ素を除去する実験を行った。その結果、ヒ素濃度がおおよそ400 ug/L以下のものについてはWHOの飲料水基準である10 ug/L以下にすることができた。しかしながら、Rajishahi周辺(バングラデシュ西部のインドとの国境に近い地域)には1000 ug/Lを超えるようなヒ素を含む井戸が存在し、そのような井戸に対しては完全に除去できないことが判明した。そこで、電解当初に陽極に鉄電極を用いて鉄を溶解させた後、陽極と陰極を入れ替えて電解を実施する方法を考案した。マグネシウムに加えて鉄との共沈を期待したものである。その結果、1000 ug/Lを超えるヒ素も1ug/L程度にまで除去することができた。ただし、運転に複雑さが加わるため、実際のプラントに関しては現在、現地と協議中である。 温泉排水に関しては、岐阜県の下呂温泉において、温泉組合の協力を得て、温泉の源泉をモデル排水とし連続式の装置を稼働した。隔膜には素焼板を用い、原水は5%が陽極を通過し、混合曝気槽に導かれる。原水の95%は混合曝気槽に流入し、陽極を通過した酸性の溶液と混合してアルカリ度が除去される。その後溶液は陰極に導かれ、pHの上昇と共にフッ素とヒ素とが水酸化マグネシウムと共沈除去される。処理能力は20 L/dayである。下呂温泉はマグネシウムをほとんど含まないため、マグネシウムは塩化マグネシウムの形で100mg/Lを添加した。源泉のフッ素濃度は17mg/L程度、ヒ素は120ug/L程度であるが、フッ素はおおよそ7mg/Lと一律排水基準である8mg/L以下にすることができ、ヒ素も10ug/L以下にすることができた。今後はより運転を簡単にするために、隔膜に陽イオン交換膜を用い、陽極側には河川水などを用いた装置を運転する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
バングラデシュの井戸のヒ素濃度が予想以上に高く、鉄電極を用いた新たな手法を考案せざるを得なかったことと、そうした場合の運転の可能性について地元との協議が難航していることからやや遅れている。 イオンクロマトグラフとICP-MSの接続により、三価と五価のヒ素を分離定量する手法はイオンクロマトグラフ側の溶離液とカラムの選択に時間を要しやや遅れているが、すでにシステムの構成は確立できている。 温泉排水のフッ素とヒ素との同時除去は順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
バングラデシュでは地元NGOの協力を得て、コミュニティ井戸において連続式のパイロットプラントを運転する。井戸水の水質に応じて鉄を溶解させるかどうかを決定するが、できるだけ鉄を溶解させないでもヒ素の除去が可能な井戸を選択する。その処理水の安全性を確認したうえで、NGOと運転の継続性について議論する。住民に安価に処理水を販売し、その収益で運転要員の雇用やメンテナンスを実施する手法について住民を交えて議論する。その後コミュニティレベルのプラントを実装し、運転を開始する。 温泉排水については、陽イオン交換膜を隔膜に用いた装置を作成し、下呂温泉において運転を行う。その性能を素焼板の隔膜を用いた場合と比較評価したうえで、スケールアップを図る。また、下呂温泉委はマグネシウムが含まれないため、現状は塩化マグネシウムを添加しているが、沈殿に含まれるマグネシウムの再利用を検討する。
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Causes of Carryover |
ヒ素(Ⅲ)とヒ素(Ⅴ)との分離測定に係る装置(イオンクロマトグラフとICP-MSとの接続装置 計上額 900千円)が未完成であるのが理由である。イオンクロマトグラフにより両者の分離を行い、ICP-MSで検出を行う予定であるが、イオンクロマトグラフのサプレッサーをヒ素(V)が通過することがわかり当初計画通りには分離測定できないことが判明した。そのためサプレッサーを通さずにICP-MSにかけることになるが、イオンクロマトグラフの水酸化カリウム溶離液がICP-MSのネブライザーに悪影響を及ぼすので、炭酸系の溶離液を用いたシステムを設計している。従って、使用時期が翌年度にずれ込んだが、当初計画通りに接続装置を購入、使用する予定である。
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Research Products
(4 results)