2018 Fiscal Year Research-status Report
地域に信頼される中学生関与による南海トラフ巨大地震・津波に対する避難路整備手法
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17K18955
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
上月 康則 徳島大学, 環境防災研究センター, 教授 (60225373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 亮一 徳島大学, 環境防災研究センター, 講師 (50361879)
井若 和久 徳島大学, 地域創生センター, 学術研究員 (50795060)
光原 弘幸 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 講師 (90363134)
内海 千種 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 准教授 (90463322)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | コンクリートブロック塀 / ID理論 / ARCSモデル / AR / 安全点検 / 津波避難路 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.コンクリートブロック塀調査:(1)津波避難経路の安全性を高めることを目的に,南海トラフ巨大地震津波によって震度7,津波高5mが想定されている徳島市津田地区でブロック塀の安全点検を行った.その結果,総延長約100kmの道路に2,048件のブロック塀を確認した.また震度7,液状化などで全てのブロック塀が倒壊した場合には,6%の道路が閉塞されることがわかった.そこで,住民に自宅のブロック塀の安全点検の希望者を募ったが33件しか応募は無かった.この一因には,日ごろの近所づきあいへの遠慮もあることが示唆された,(2)2018年大阪府北部地震ではコンクリート・ブロック塀(CB塀)の倒壊、死亡事件が再び起こった。南海トラフ巨大地震では、倒壊したCB塀が津波避難を妨げ、被害を甚大化させる恐れがある。そこで、本研究では、ある地区内のCB塀の悉皆調査と住民向けの報告会を行い、対策を講じる上での課題抽出を行った。報告会での発話分析では、①CBへの過信、②対策への経済的負担、③近所つき合いへの影響などを抽出し、まちづくりの視点でとらえることの必要性を指摘することができた。 2.学習プログラム:(1)ブロック塀倒壊の危険性を効果的に伝えるために,ARによるブロック塀倒壊表示システムを試作した.学習者には,現実のものよりも,より効率よく危険性に気づくことを示すことができた.(2)インストラクショナル・デザイン(ID)理論を参考に,「①ツナミ避難ゲーム」と「②ブロック塀危険個所発見ゲーム」を作成した.その学習効果は,防災を楽しく学べ,防災対策への学習意欲を向上させることができ,一部の生徒には実際に具体的な対策を促すことができるものであった. (3)劣化コンクリート塀を自動抽出システムの開発:本課題について企業と共同研究を始めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
以下の理由から,本研究は計画通り概ね順調に進んでいると評価できた. (1)コンクリート・ブロック塀調査:地区の協力を得て,2地区で全戸のCB塀の安全点検調査ができている.全国的にCB塀の危険性が指摘されているが,全戸を対象とした悉皆調査を行っている地域は他に見あたらず,貴重な事例と言える.また調査結果を基に,地域にCB塀の改修を呼びかけるものの,地域への遠慮などが先立ち,対策が進まないなどの問題を抽出することができた.以後は,研究計画を修正し,ARCSモデルやID理論を活かした学習プログラムで対策を進めたいと考えている.本成果は,査読付き論文1編,口頭発表1件にまとめた. (2)学習プログラムの開発: ARを使った学習システム,IDを活用した学習プログラムを開発し,試行した.その結果,それぞれに効果と課題を見いだすことができた.本成果は,口頭発表2件にまとめた. (3)劣化コンクリート塀を自動抽出システムの開発:本課題について企業と共同研究に着手し,自動抽出した結果と目視判定されたものとを比較し,正解率を求めた.9割以上の正解率と性状判別の限界などを明らかにすることができた.次年度はAIシステム化を目指すこととした.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)コンクリート・ブロック塀調査:他地区での調査を実施し,事例を増やすこと,地区防災の支援を行う. (2)学習プログラムの開発: ARCSモデル,ID理論,ゲーミフィケーションの要素を取り入れ,興味関心,対策への意欲を高めることのできる学習プログラムを開発する.その学習プログラムを,子供から老人まで,様々な方を対象に試行していく. (3) 劣化コンクリート塀を自動抽出システムの開発: MMS(モービルマッピングシステム)による3次元空間計測システムによって,自動車で移動しながら3D測量をする.またCB塀の劣化の判断はAIを使い,総合的に安全性を判定するシステムを開発する.またこの成果を特許申請する予定である.
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Causes of Carryover |
データ記録用のハードディスクを購入予定であったが,平成30年度のデータについては所有しているもので保存できた.平成31年度はより多くの調査を行う予定であり,次年度に同物品を購入する予定である.
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Research Products
(7 results)