2017 Fiscal Year Research-status Report
超臨界法によるナノ薬剤粒子担持DDSキャリアの新規創製
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17K19003
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
猪股 宏 東北大学, 工学研究科, 教授 (10168479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇敷 育男 広島大学, 工学研究科, 助教 (30734850)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 薬剤 / 超臨界 / ドラッグデリバリーシステム / メソポーラスシリカ / 含浸 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の医薬品開発においては,(i)新薬候補の多くが難水溶性であり,溶解性向上に向けた微粒化が必要,(ii) 薬効増大,副作用軽減に向けたドラッグデリバリーシステム(DDS)の開発が必要という2つの課題がある.そこで本研究では,これら2つの課題を同時に解決する方法として,超臨界CO2に薬剤を溶解させた後,メソポーラスシリカの有するナノ細孔空間に薬剤粒子を含浸・担持させることよってDDSキャリア創製する手法(超臨界法)に着目した.平成29年度においては,汎用的に用いられているメソポーラスシリカであるMCM-41をモデル担体,DDSへの応用が望まれている代表的な難溶性の非ステロイド性抗炎症物質であるイブプロフェンをモデル薬剤とした検討を行った. 超臨界法による実験では,まずシリカと薬剤を封入したバスケットを高圧セル内に入れ,そこに超臨界CO2を供給した.続いて所定温度,圧力条件下でセル内を攪拌し,所定時間経過後に減圧することで目的のサンプルを得た.温度333 K,圧力15.0 MPa,含浸時間24 hの条件にて実験を行なったところ,窒素吸着法による分析結果からメソポーラスシリカ細孔内への薬剤含浸が確認された.さらに熱重量分析(TGA)による定量の結果,従来法である液相法(エタノールまたはヘキサンを溶媒とした場合)と比べ,超臨界法による高い薬剤含浸量を達成した.これは超臨界流体の有する細孔内への高浸透性などに起因する結果と考えられ,本手法の優位性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,超臨界法によるナノ薬剤粒子担持DDSキャリア創製へ向けた基礎的検討として,モデル担体及びモデル薬剤を用いた実験・分析までを行うことが出来たため概ね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、担持効率に対する圧力,薬剤種,担体種依存性を検討するとともに,徐放性能に関する試験を、試作サンプルを用いて実施する予定である.
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Causes of Carryover |
基本的には計画通りの執行であった.しかし,予定した備品の納入価格が予算よりも少し低廉になったこと,また消耗品であるサンプルなどの経費に若干差異が生じたことが理由である. なお,この残金については,次年度に予定している種々の担体の購入に充てる予定である.
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Research Products
(1 results)