2017 Fiscal Year Research-status Report
Oxidative Dehydrogenation of Alkanes in the Presence of Oxygen Species Activated Using Ultravaiolet Rediation
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17K19014
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
杉山 茂 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (70175404)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古部 昭広 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (30357933)
岡本 敏弘 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (60274263)
加藤 雅裕 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (80274257)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 活性酸素 / LED光源 / アルカン / アルケン / 接触部分酸化 / 酸化物触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
固体酸化物触媒を用いたメタンなどのアルカンを、接触酸化脱水素により、エチレンなどのアルケンに変換する反応では、原料ガス中および固体酸化物触媒中の活性酸素が寄与する。しかし、どのような活性酸素種が具体的に寄与しているかは未解明であり、活性酸素種の同定や活性酸素種の具体的な反応様式を明らかにすることは非常に困難な課題である。このような状況に対し、本研究では以下の2項目に着目した。 ①酸素ガスにUVを照射するとオゾン、UV-LEDやHe-Cdレーザーを照射するとスーパーオキシド、またチタニアが共存するとOHラジカルの活性酸素種が効率良く生成し、アルカンの接触酸化脱水素の活性種として寄与する。 ②蛍光プローブや発光分析を行うと、スーパーオキシド、OHラジカル、過酸化水素及び一重項酸素のような活性酸素種の同定が可能である。 本研究では、上記の活性酸素種を導入すると、アルカンの接触酸化脱水素反応が、通常の酸素分子を導入した場合と異なることを実証する。接触酸化反応を行いながら、光の導入を行うことができる光学窓付電気炉を製作し、実際に活性酸素種を生成させてアルカンからアルケンへの接触酸化反応が安定して行えるようするために、研究代表者に実績のある常圧固定床流通式反応器と研究分担者に実績のある光学系を組み合わせる。メタンの接触酸化脱水素では気相の活性酸素が直接的に触媒反応に影響するが、他のアルカンでは活性酸素と触媒中の格子酸素の脱離挿入が触媒反応に大きく影響を与える。そこで、後者を検討するために、工業的にも重要なイソブタンからイソブテンへの接触脱水素反応、さらに同様な反応形式をとるアルケンとしてプロピレンを取り上げ、接触部分酸化反応によるアクロレインやプロピレンオキサイド合成を取り上げ、これらの接触反応における格子酸素の挙動を明らかにし、上記のメタンを用いた活性酸素種の検討結果を展開する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、アルカンの接触酸化脱水素反応における活性酸素種の同定とその生成物に対する影響を確認するという、現在までに推察の域を出なかった部分を具体的にしようとする挑戦的な萌芽研究である。活性酸素は気相および気相で発生した活性酸素の触媒中との格子酸素との脱離挿入があり、本年度は以下の装置製作および研究推進を行った。 ①気相活性酸素発生装置付常圧固定床流通式反応装置の製作 アルカンとして最も安定なメタンの接触部分酸化反応に対する気相活性酸素の影響を検討する装置を製作した。活性酸素を発生させる光源として、徳島県の特色も活かせるLEDを選択し、気相酸素+LEDの条件で活性酸素を発生させ、メタンの接触酸化脱水素活性がないチタニアを用いる条件下で、気相酸素を十分に活性酸素化できる酸素供給量を計算し、酸素の流量が0.03 mL/minという超低速の流量から、通常の流量である3 mL/minの流速が保てるマスフローを特注し、設置することができた。また、通常は2方向に穴が開いている電気炉に、光路用の穴を持つ電気炉を特注し、本研究に最適な電気炉を設置することができ、装置自体は完成した。 ②触媒の格子酸素の脱離挿入に着目したイソブタン及びプロピレンの部分酸化 前述のように、気相中で発生した活性酸素は触媒中の格子酸素と脱離挿入を行い、アルカンさらにはアルケンの接触酸化脱水素反応に寄与するため、気相酸素と触媒中の格子酸素と脱離挿入するタイプの触媒を用い、イソブタンからイソブテンへの接触酸化脱水素反応、プロピレンからアクロレインおよびプロピレンオキサイドの接触部分酸化反応の検討を行った。特に、プロピレンの接触部分酸化反応においては、プロピレンによる格子酸素の引抜挙動をプロピレンパルスという新たな手法で検討し、従来用いられてきた水素パルスでは不可能な低温での検討を行えることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度完成した気相活性酸素発生装置付常圧固定床流通式反応装置を用い、メタンの接触酸化脱水素反応を検討する。具体的な触媒として、メタンの良好な接触酸化カップリング触媒であるマグネシアと酸化プラセオジウムを取り上げる(以下対象触媒)。マグネシアは格子酸素の脱離挿入がなく、酸化プラセオジウムでは格子酸素の脱離挿入が著しいことは研究代表者のこれまでの成果から明らかである。また、LED+気相酸素において酸素を活性化するが、メタンの接触酸化カップリングには影響を与えないチタニアとして、触媒学会が参照触媒として配布している、従来光触媒活性が最も高いといわれていたP-25と同様の製法で調製されたJRC-TIO-15を用いる。JRC-TIO-15は既に触媒学会から入手済みである。本研究では、活性酸素を発現させ、良好に触媒上に供給することが最重要課題と思われる。したがって、触媒の構成形態としては、①チタニア層+対象触媒層、②チタニアと対象触媒の混合系の2形態を採用する。また、LED照射点も、上記①においてはチタニア層の直前、チタニア層、チタニア層と対象触媒層の境界の3箇所の位置を検討する。上記②においても、同様に照射点を検討し、最も効率の良い照射位置を決定する。このような条件を決定後、発生した活性酸素が、メタンの酸化カップリング反応で生成する化学種に直接的に影響しているかを明らかにする。また、他のアルカン、アルケンの接触酸化反応に本研究の成果を展開するため、イソブタンおよびプロピレンの接触部分酸化を本年度と同様に継続し、特に活性酸素種として過酸化物の寄与が指摘されているプロピレンからプロピレンオキサイドへの接触部分酸化反応に対しては、メタンの接触酸化カップリングを用いた気相活性酸素発生装置付常圧固定床流通式反応装置からの結果から過酸化物の寄与が明らかになった条件を応用して検討する。
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Causes of Carryover |
(理由) 3月に納品、出張、その他の実施となり、支払いが完了していないため。 (計画) 4月に支払いが完了する予定である。
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