2017 Fiscal Year Research-status Report
二次元デバイスのプラットフォームとなる六方晶窒化ホウ素の高結晶多層膜の創製
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17K19036
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吾郷 浩樹 九州大学, グローバルイノベーションセンター, 教授 (10356355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
光原 昌寿 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (10514218)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | ナノ材料 / マイクロ・ナノデバイス / 結晶成長 / 触媒・化学プロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、グラフェンをはじめとする原子層物質が、優れた電気・光特性などから、次世代デバイス材料として大きな注目を集めている。しかし、これらの物性は基板の表面粗さや電荷不純物、格子振動によって特性が著しく低下することが知られている。このため、原子レベルで平坦な六方晶窒化ホウ素(hBN)の多層膜が、高性能の電子デバイスの絶縁層として非常に重要となっている。しかし、世界的に用いられているhBN膜のほぼ全てがhBN単結晶粒から機械的に剥離したものであり、この剥離片のサイズは非常に小さく、実際の応用には適さないという問題があった。 そこで、原子層物質の真の特性を発揮するのに有効な二次元材料プラットフォームを構築し、二次元材料の世界に大きなイノベーションをもたらすことを目標として研究を行った。この実現のために、本研究ではCVD法により高結晶性で均一な多層hBN膜を大面積に合成する手法の開発を進めた。当該年度は、ホウ素と窒素を含む原料の検討をはじめとして、触媒金属の組成、そして温度や圧力といったCVD成長条件について詳細な検討を行った。その結果、鉄をベースとする遷移金属の合金薄膜を用いることで均一性に優れた多層hBN(厚さ約3nm)を合成することができた。 さらに、半導体的な性質をもつ原子層物質である二硫化タングステンをこの多層hBN上に成長させ、蛍光を測定したところ、通常のシリコン基板上のものと比較して、強度が大きく、かつ半値幅の小さな鋭い発光ピークを得ることができた。つまり、多層hBNによってシリコン基板からの影響が大幅に低減されたことを意味している。この結果は、本研究で合成した多層hBNが原子層物質の絶縁基板として極めて有効に作用することを示すものであり、今後のさらなる大面積化や高品質化により、二次元材料研究に大きなインパクトを与えるものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
単結晶基板上のエピタキシャル合金触媒を用いるという独自の手法を用いることで、均一性に優れた多層hBNの成長の可能性を拓くことができた。特に、従来の報告よりも光学コントラストが均一なhBN膜を得ることができた。 さらには、二硫化タングステンのような半導体の原子層物質の基板としての特性も評価を行うことができており、合成だけでなく、応用の可能性を示す結果が得られていることから順調な進展であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、多層hBNの均一性と層数制御性をさらに向上させるとともに、原子レベルでの平坦性の一層の向上も望まれることから、継続してCVD合成に関する研究を継続する。さらに、グラフェンからなるトランジスタもこの多層hBN上に作製し、従来の剥離hBN片を上回る高いキャリア移動度のグラフェントランジスタを大面積に得ることで、原子層物質の応用に真に有効であることを実証したいと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度に人件費や装置で比較的大きな額の使用が必要だったため。
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Research Products
(24 results)