2018 Fiscal Year Research-status Report
生物由来燃料生産のための機能性酵素カクテル合成と対応フォーミュラの創成
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17K19089
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
浅田 元子 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 講師 (10580954)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 耐熱性酵素 / バイオフューエル / バイオマス |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、化石燃料消費に伴う地球温暖化および化石資源枯渇、化石資源由来製品多用による環境汚染が国内外で広がっている。これらの問題を総合的に打破する解決策の一つとして未利用バイオマスによるエネルギー生産が注目されている。現在盛んにエネルギー生産の研究として行われているのが、食料との競合がない未利用木質バイオマスからのバイオエタノール生産である。未利用木質バイオマスからのバイオ燃料生産においては、セルロースの加水分解(グルコースへの糖化)の効率を上げることが最も重要な鍵である。本研究では、現在法で製造不可能な理想的特性を持つ加水分解酵素(セルラーゼ)群の製造・利用プロセス(最適な新規酵素種の選定、カクテル比の決定、算式化)開発に挑戦することにより、未利用バイオマスを原料とした効率的バイオ燃料生産システムの創成を行った。酵素としてPyrococcus furiosus DSM3638由来のβ-グルコシダーゼBGLPf0073(BG)、Pyrococcus horikosii OT3由来のエンドグルカナーゼEGPh1171(EG)、Caldicellulosiruptor saccharolyticus由来のセロビオハイドロラーゼ CBH001(CBH)のセルロース糖化に必要な3種類を用いた。未処理の酵素と精製した酵素(熱処理後の酵素)をSDS‐PAGEで比較した結果、EGとBGは90℃、CBHは80℃で15 minの熱処理で目的酵素以外のタンパク質をほとんど除去することができた。熱処理のみで精製可能であり、クロマトグラフィーなどの複雑な操作を必要としないので、コストの削減や精製時間の省略が可能であった。反応温度80℃で行ったセルロース繊維ベンコットの糖化では、酵素を精製せずに(熱処理なしの)菌体添加でも糖化反応が進む、90%以上の糖化率が得られることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
セルロース繊維ベンコットの酵素糖化率は90%以上であったが、実バイオマス(稲ワラ)の酵素糖化率が20.4%であったため、糖化率を向上するための方策が今後の課題であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
実バイオマス(稲ワラ)の糖化に関しては酵素糖化率20.4%にとどまった。これについてはバイオマス中のリグニンの存在、セルロースの重合度や結晶化度などが原因であると思われるので、リグニンの分解・除去やセルロースの重合度や結晶化度を下げることができる前処理法や酵素カクテルの割合を検討することにより、酵素糖化率の向上を図る予定である。
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Causes of Carryover |
研究遂行上、セルロース加水分解酵素 エンドグルカナーゼ(EGPh)、β-グルコシダーゼ(BGLPf)、セロビオハイドロラーゼ(CelB)の3種類酵素生産が不可欠であるがコンピテントセル(大腸菌由来)での発現に際しCelBの活性が低く使用可能なまでに至っておらずその生産が滞っているため期間の延長が必要である。現在知見者の助言によりオリゼによる発現を試行しており、その実験に次年度使用額を充てることにより、研究が速やかに遂行できると考える。
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Research Products
(5 results)