2018 Fiscal Year Research-status Report
Study on Alkylation of Organic Compounds Using Alkanes
Project/Area Number |
17K19127
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
南 安規 中央大学, 研究開発機構, 機構准教授 (60613362)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | アルカン / アルケン / 有機ケイ素化合物 / アルキル化 / アルケニル化 / 遷移金属触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルカンを有機合成反応に直截利用することは現代の化学をもってしても課題が多く,いまだ困難のままである.この問題解決のためには,従来の反応の設計思想に依らない,斬新な合成反応手法が求められる.本研究では,ヘキサンなどの単純アルカンを用いて,有機ケイ素化合物の炭素-ケイ素結合を活性化し,形式的にアルキル化する反応を開発する.本反応は,アルカンの脱水素オレフィン化,オレフィンと有機ケイ素化合物との反応によるアルキル化から構成され,後半のアルキル化が鍵過程となる.このため,後半の有機ケイ素化合物のオレフィン類との反応の開発を中心に進めている.オレフィンとの反応を達成した際に,アルカンの脱水素オレフィン化,続く炭素基の導入反応を実施する. 本年度は前年度に引き続き,有機ケイ素化合物の末端アルケンおよび内部アルケンとの反応の研究を推進した.使用する触媒は,パラジウムおよびニッケル,ロジウム,イリジウム,銅を中心に用い,様々な配位子,添加剤,溶媒を組み合わせて実施した. 前年度の予備実験により,想定している反応機構が機能する可能性の端緒を得ることに成功した.これらの結果を参考に,有機ケイ素化合物とオレフィンとの反応開発に取り組んだ.計画書に記載した配位子類を使用するだけでなく,パラジウム錯体がオレフィンと反応しやすいと考えられる配位子を用いるなど,さまざまな反応条件を検討した結果,当初想定していたアルキル化だけでなくアルケニル化反応が進行することを突き止めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現状では,アルキル化反応について満足たる収率で反応が進行していない.この反応は引き続き触媒条件の探索のもと,成功させる所存である.一方,当初は想定していなかった単純オレフィンによるアルケニル化反応は収率よく進行することがわかり,また汎用性も高いことがわかった.このとき,銅触媒のみでオレフィン化が進行することがわかったため,反応機構の調査も兼ねて,オレフィンから用意に誘導できるハロゲン化アルキルとの反応を実施し,間接的にではあるが,アルキル化に成功した.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,有機ケイ素化合物の単純アルケンによるアルキル化の反応条件の最適化,およびアルケニル化の反応を推進し,アルキル化反応およびアルケニル化反応を確立する.アルカンの脱水素オレフィン化と組み合わせて,アルカンによる炭素骨格導入法の達成を目指す.いずれの反応も最初のオレフィンとの反応が本研究の鍵であるため,関連する文献の調査と得られた知見を基に,最適な反応条件の探索を中心に進める.
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Causes of Carryover |
研究実績の概要および現在までの進捗状況で記したとおり,本研究の鍵となる有機ケイ素化合物と単純オレフィン類との反応の触媒条件検討を実施した.選定した標準原料化合物およびその原料,パラジウムなどの遷移金属塩,配位子類,添加剤などの有機塩および無機塩を購入し,徹底的に検証を行った.その結果,当初の想定とは異なり,銅触媒のみでオレフィン類との反応が進行したこと,アルケニル化反応も達成できた.近年,同様の反応思想による,ハロゲン化アリールのアルカンによる間接的アルキル化が盛んに研究されている.一方,アルケニル化反応に展開した例は極めて少ない.この手法を応用すれば,間接的にはあるがアルキル化反応にも展開できることが推察された.よって,研究期間を延長し,研究を強力に推し進めることにした.
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