2017 Fiscal Year Research-status Report
キラル液晶の選択反射・透過による共役ポリマーの発光キラル分割とキラルスイッチング
Project/Area Number |
17K19156
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
赤木 和夫 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 教授 (20150964)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | キラル液晶 / 選択反射・透過 / 共役ポリマー / 光キラル分割 / 円偏光発光 / キラリティー / 温度依存性 / キラルスイッチング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、キラルネマチック液晶が有する選択反射と選択透過の性質を利用して、発光性二置換ポリアセチレン誘導体の無偏光蛍光を光学的にキラル分割して、左右の円偏光発光を得て、さらに、温度変化により円偏光発光のキラルスイッチングを実現することを目的とする。初年度にあたる本年度の研究実績は以下のとおりである。(1)低温および高温でそれぞれネマチック液晶相を有する二種類の液晶を合成した。低温液晶はフェニルシクロヘキシル部位をメソゲンコアとする化合物であり、高温液晶は、フェニルシクロヘキシル部位とフェニルエステル部位が連結した化合物を用いた。低温および高温液晶を最適の割合で混合し、低温(60℃)から高温(120℃)までの広範囲でネマチック相を示す液晶を調製した。(2)次に、液晶との相溶性を確保するため、ビナフチル環の4つの位置に液晶基を導入した四置換軸不斉ビナフチル誘導体を合成した。これをキラルドーパントしてネマチック液晶に添加してキラルネマチック液晶を調製した。(3)発光性二置換ポリアセチレン誘導体を合成した。このポリマーを発光源として、光キラル分割に供した。(4)キラリティーとキラル強度がともに異なる二種類のキラルネマチック液晶を二層石英セルの各セルにそれぞれ注入し、次にこの二層液晶セルの片面に、発光性アキラル共役系ポリマーをキャスティングして、面発光フィルムを作成した。(5)キラルネマチック液晶がもつ選択反射と透過の機能を利用して、ポリマーの発光を光学的にキラル分割して、円偏光発光を発現させた。同時に、温度を変えることで、円偏光発光のキラリティーを逆転させ、温度変化によるキラルスイッチングすることを可能とした。この二層キラル液晶セルと共役ポリマーとの組み合わせを最適化して、発光の非対称性因子を1.1~1.6の高い値を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在までの研究により、温度変化に応答するキラル液晶を合成して、キラル液晶の選択反射・透過を利用して光のキラル分割を達成した。そのために、ラセミ体の共役ポリマーとして二置換ポリアセチレン誘導体を新たに合成し、その蛍光を発光源として、無偏光の発光キャストフィルムも調製した。無偏光発光を対象として、タンデム型二層液晶セルを新規に設計することで、各層に充填した二種類のキラルネマチック液晶の選択反射と透過を利用して、左右の円偏光発光をキラル分割することに成功した。さらに、円偏光発光のヘリシティを低温と高温の変化させることで、左右の円偏光を可逆的にスイッチングすることを実現した。発光の非対称性因子は理想値が2であるが、本研究での非対称因子は1.1から1.6という非常に高い値を実現した。これまでの研究成果をもとに、タンデム型三層キラル液晶セルを新たに構築し、アキラル白色発光性の共役コポリマーと組み合わせることで、赤緑青三原色の円偏光発光を取り出し、そのキラリティーをも制御するキラルプリズムの基礎固めができたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)白色発光のアキラル(ラセミ体)共役コポリマーを合成する。三層液晶セルの片面に共役コポリマーのキャストフィルムを作成し、このポリマーフィルムを無偏光の白色発光源とする。(2)軸不斉ビナフチルドーパントの添加量(濃度)を変えることで、ヘリカルピッチの異なる三種類のキラルネマチック液晶を調製する。これをそれぞれ石英セルに注入して三層キラル液晶セルを構築する。キラルネマチック液晶はらせんピッチが異なるため、異なる波長領域で選択反射・透過が可能となることを分光学的に確認する。(3)三層キラル液晶セルと白色発光共役コポリマーを組み合わせることで、RGBの円偏光発光にキラル分割する「キラルプリズム」デバイスを構築する。左右の円偏光がRGBの発光色を発現するため、このキラルプリズムを用いることで、8通りの円偏光発光を発現させることができる。これにより、高密度の光学メモリーに供することが期待される。
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Causes of Carryover |
今年度は異動した大学(立命館大学)での研究室の立ち上げに予想以上の時間がかかり、年度の後半になってやっと実験を開始する状況であった。そのため、化学合成実験のための薬品や消耗品の購入量が予定を下回った。当該の予算額は、次年度の物品費に組み込んで使用する予定である。
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[Journal Article] Probing Variable Range Hopping Lengths by Magneto Conductance in Carbonized Polymer Nanofibers2018
Author(s)
K. H. Kim, S. L.-Avila, H. He, H. Kang, S. J. Hong, M. Park, J. Eklof, K. M. Poulsen, S. Matsushita, K. Akagi, S. Kubatkin, Y. W. Park
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Journal Title
Sci. Rep
Volume: 8
Pages: 4948 (1-7)
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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