2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of Direct Borylation of pi-Conjugated Polymers
Project/Area Number |
17K19164
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
畠山 琢次 関西学院大学, 理工学部, 准教授 (90432319)
|
Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
|
Keywords | 高分子合成 / 有機導体 / 有機化学 / 電子・電気材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
π共役ポリマーは,軽量性,柔軟性,加工性,透明性などの優れた特徴を有する半導体・導電性材料として注目を集め,国内外で盛んな研究開発が行われている。これまでに,ポリパラフェニレン,ポリアニリン,ポリチオフェン誘導体などが合成され,その応用例は,透明導電膜,スーパーキャパシタ,2次電池,有機薄膜太陽電池など多岐に渡る。すでに,一部のタッチパネル用透明電極や有機EL用電荷注入層で実用化されているが,優れた導電性と安定性を兼ね備えた材料は未だ多くない。一方,π共役ポリマーに対する発光性の付与により,高分子有機ELの発光材料としての応用研究も進んでいるが,精密重合が可能な強発光性のモノマーは少なく,更なる特性の向上は容易ではない。そこで本研究では,独自に開発したタンデムボラFriedel-Crafts反応を鍵として,π共役ポリマーに対しホウ素置換基を導入することで,優れた半導体・発光特性を有する新たなπ共役ポリマーを創成する。本年度は,まず,タンデムボラFriedel-Crafts反応におけるホウ素化剤,添加剤,溶媒,反応条件を精査することで,位置選択的かつ効率的な多重C-Hホウ素化反応の開発を行った。トリアリールアミン類に対して,最大で4個のホウ素原子を高選択的に導入することが可能となった。これにより得られた含BN拡張π共役分子は,一重項励起エネルギーと三重項励起エネルギーの差が小さく,色純度の高い青色蛍光を示すことから,熱活性化遅延蛍光材料として有用であることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タンデムボラFriedel-Crafts反応におけるホウ素化剤,添加剤,溶媒,反応条件を精査することで,位置選択的かつ効率的な多重C-Hホウ素化反応を開発した。トリアリールアミン類に対して,一挙に4個のホウ素原子を高選択的に導入することが可能となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度に開発した位置選択的かつ効率的な多重C-Hホウ素化反応を用いて,種々のπ共役オリゴマーおよびポリマーの多重C-Hホウ素化反応を行う。本手法を応用することで様々な含ホウ素π共役オリゴマーおよびポリマーの合成を検討する。
|
Causes of Carryover |
研究補助員を雇用予定だったが適した人材が見つからなかった。その代わりに,研究の効率化のために,高精度な物性予測を可能とするハイパフォーマンスPCを購入した。旅費やその他の経費にも変更が生じたため,それらの差額として残った27014円を繰越すこととした。
|