2017 Fiscal Year Research-status Report
Molecular activation and chemical conversion by dielectric property
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17K19180
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
山本 孝 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (70361756)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 焦電物質 / 積層型薄片結晶 / タンタル酸リチウム / 物質変換 / X線 / 放電 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は焦電結晶の形状と周囲環境,特に共存気体の圧力が高電場発生に与える効果を検証し,高精度温度制御システムの導入および試料合成環境の整備を行った。厚さ5mmのzカット薄片型タンタル酸リチウム単結晶を積層させたユニットを製作し,温度変化に伴う高電場発生挙動を大気圧,低真空(10-1 Pa)および高真空(10-4 Pa)下で発生するX線をガイガーカウンターまたはSi-PIN検出器により計測するとともに,放電挙動の可視計測を行った。 形状不揃いの結晶を積層させたユニットAは,同一サイズの結晶を同数積層させたユニットBよりX線発生強度が著しく強く,また放電回数がおよそ1/5に抑制されることが見出された。加熱/放冷時の放電回数の比に対して結晶形状の影響は観察されなかった。放電は単結晶側面で発生しており,ユニットB側面に絶縁グリースを塗布すると回数は1/3程度に抑制された。薄片型結晶4枚を積層させた際に発生するX線の最高エネルギーはいずれの真空度でもユニットA,Bともに20 keVであり,形状とは無関係であることが確認された(大気圧下ではX線スペクトルは計測されなかった)。このことは薄片型結晶の粉砕または微粒子化後も,高電場発生挙動が起こり得る可能性を示しており,焦電特性の物質変換反応へ利用するための知見が得られた。上記実験はステンレス製真空フランジにて行った。物質反応を実施するための密閉系ガラス製反応装置のための必要物品は平成29年度中に調達し,製作を進めている。また1773 Kまで加熱可能な誘電材料合成用の電気炉及び耐熱容器も調達し,予備実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高電場発生実験は概ね順調に進展しており,物質変換反応へ展開するための知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
粉体を含む多様な形態の焦電体による高電圧発生実験,焦電結晶合成,および焦電効果による分子活性化および物質変換の試みを引き続き行う。1600℃まで使用可能な高温電気炉および白金るつぼは導入済みであり,多様な誘電体結晶を含む酸化物を合成,評価を行う。ガラス製閉鎖循環式反応装置を完成させて,焦電特性の物質変換反応への適用を試みる。活性試験はアルコール分解反応を第一に行う。焦電特性を有する誘電体単独での活性試験と並行し,焦電材料と固体触媒を混合させた検討を行う。
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Causes of Carryover |
課題採択決定が7月かつ交付時期の年度半ばであったため,装置導入を必要とする研究が申請書と比較して僅かに遅れたために次年度使用額が生じた。一方繰越金額は20%程度でありかつ新年度4月の国際会議旅費等に支出するため,当初の計画通りに研究を遂行する。
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Research Products
(7 results)