2020 Fiscal Year Annual Research Report
Validation of the theoretical model by actual measurements of each component that regulates phloem translocation in trees
Project/Area Number |
17K19291
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
檀浦 正子 京都大学, 農学研究科, 助教 (90444570)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | 師液流 / 膨圧 / パルスラベリング / 師液流モデル / 炭素循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの師液輸送モデルでは困難であった高木の炭素移動の説明のために、13Cパルスラベリングによる師液流の実測とともに、各種説明変数を測定し、新しい師液流モデルを提唱することが本研究の目的である。 最終年度は、レーザー式安定同位体測定装置(TDLS)を修理することができ、現場への設置を行い、樹高20.4mのヒノキを対象に秋にラベリングを実施することができた。対象木の幹の4高度に幹呼吸測定用のチャンバーを設置し、TDLSと接続して連続測定を行い、実際の炭素移動速度を計測することができた。この実測された師液流の速度は0.12-0.25 m h-1であり、部位によって、また時間帯によって異なった。対象木のような20mを超えるヒノキ高木では、光合成産物が幹を通り地際に到達するまでおよそ150時間(6日)かかることも示された。 師液流の駆動力である膨圧については、これまでに、オズモメーターによるヒノキ師部サンプルの抽出液の浸透圧の測定、水ポテンシャルの測定を行い、推定している。 また、コンダクタンスを構成する、師液の粘性については、師部を含む樹皮サンプルを水に浸し、師液を採取して糖濃度を測定し、粘性を算出した。さらに、師部の顕微鏡観察を行うためのサンプルを4高度から採取し、師部の高度別の解剖学的なデータを得ることができた。 これらから、昼間と夜間とでは、師液流の速度が異なり、特に水ポテンシャルの変動が説明要因であることが示唆された。マイクロデンドロメータで測定された師部厚も日変動を示すことも踏まえ、今後は師部輸送に関して、日変動を考慮にいれた理解が必要である。
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