2017 Fiscal Year Research-status Report
テープヒータ電力線を利用した園芸農業無線センサデバイス用非接触給電システム
Project/Area Number |
17K19314
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Research Institution | Tokuyama College of Technology |
Principal Investigator |
山田 健仁 徳山工業高等専門学校, 情報電子工学科, 教授 (40280458)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 電磁誘導 / 電磁界解析 / 非接触給電 / 回路シミュレーション / 有限要素法 / 倍電流整流回路 / 変流器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、テープヒータの低周波電力に高周波微小電力を重畳して送電し、その高周波電力を効率よく受電し、センサデバイスに供給するための電力とすることを特徴としている。特に電力を受電するための電磁誘導素子構造と受電用電子回路の設計手法を確立することが重要な研究要素となる。このことについて2017年度は、以下の解析と実証実験を実施した。 1)微小電力重畳回路方式に、商用電源への通信信号の重畳方式として確立されているコンセントLANに使用されている回路方式の適用を考え、その妥当性を検討した。公開されているコンセントLANの電子回路を参考にテープヒータ電力に高周波微小電力を重畳する電子回路を設計し、電子回路シミュレーションにより動作解析を行った。その結果、本研究対象にこの回路方式を適用した場合の機能検証ができた。 2)受電システムの重要構成要素となる電磁誘導素子の構造に関して、有限要素法による電磁界解析シミュレーションのための物理モデルを作成し、電磁誘導素子の動作機能検証を行った。基本構造として、トロイダル・コアを使用したコイル構造が妥当であることが確認できた。試作実験では、受電電力量を最大にすることを目的に適正な構造について検討し基本動作を確認した。しかしながら、十分な受電性能は得られておらず見直しを行っている。 3)受電用電子回路は同調回路、整流回路と蓄電回路を基本的な構成としている。電子回路シミュレーションにより、主に整流回路方式、蓄電能力の面から、受電用電子回路の消費電力低減化技術に関して検討を行った。整流回路では倍電流整流方式が有効であることが確認できた。各回路素子のパラメータ最適化のため、シミュレーションと並行し受電電子回路基板を試作し、実験によりその問題点を明確にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
評価試験法や実験準備の不手際で実証実験データの取得が出来ておらず、論文などの成果発表に至っていない。しかし、シミュレーションに使用する物理モデルの構築や基礎実験データは得られたので、「やや遅れている」とした。 以下に問題となっている項目を示す。 1)テープヒータ電力に高周波微小電力を重畳する電子回路についてシミュレーションでの動作検証はできたが、実装実験での確認に至っていない。 2)電磁誘導素子構造では、想定した最低限の性能はシミュレーション、試作実験ともに達成できたが、受電電力を増加させる構造の検証や最適な受電構造に関する検討が不十分である。 3)受電用電子回路に関しては、想定した性能を達成できることを回路シミュレーション、実装実験で明らかにできたが、受電能力を最適にする各回路素子のパラメータを決定する手法に関しての検討が不十分である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画では、2018年度には、前年度に設計した電磁誘導素子構造と受電用電子回路を無線計測センサデバイスに結合実装し、ビニールハウス等の農業施設環境での実証実験を目標としていたが、まずは前年度に未達成の課題を解決することに注力する。 ただし、今回使用したセンサデバイスのビニールハウス等の農業施設環境での実証実験に関しては電力供給技術とは別の研究課題で進めることができたため、本研究の主目的であるセンサデバイスへの非接触電力供給技術が確立できれば最終的な目標を達成できるものと考えている。
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Causes of Carryover |
電磁誘導素子の試作では、既成のトロイダルコアにより基本特性を確認した。その次の段階でトロイダルコアの加工、試作等を考えていたが、基本特性が不十分であったためトロイダルコアの試作にまで至らなかった。これにより、試作費、加工費に残ができた。これは2018年度に実施し、予算を執行する。 また、受電回路基板の試作では、回路素子の最適化のための基板試作まで実施できたが、最適化用の部品購入が未実施であり、2018年度に予算執行する。 なお、学会、研究会等への参加ができなかったため、旅費等に残が生じた。2018年度は、研究会等での発表や情報収集に努める。
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