2017 Fiscal Year Research-status Report
imaging of whole cell by super resolution method
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17K19343
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
樋口 秀男 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (90165093)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 超解像 / 細胞 / 金微粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
超解像解析のために画像データを何通りかで取得した。まず、GFP-tubulinを発現したがん細胞および、量子トッドがエンドサイトーシスされた細胞を準備した。これらの細胞をオリンパスIX71にスピ二ングディスク共焦点装置を取り付け約200 frames/sにて画像を取得、および倒立顕微鏡にて画像を得た。なお蛍光分子GFP励起用に488nmレーザーを量子ドット(蛍光波長655nm)の励起用に532nmレーザーを用いた。対物レンズには、開口数1.4のPLANAPO60x及び100xを用いた。また、マウス内組織観察には、シリコン浸レンズ、NA1.30を用いた。さらに、我々の開発したダブルヴュー光学系を用いて、量子ドット(蛍光波長650nm)とGFPの画像同時取得を行った。 蘆田らが開発した超解像アルゴリズムを実験に応用するために、ミオシンフィラメント内のミオシン分子の画像化を行った。ミオシン分子は、間隔100-400nmで分布していると予想されるので、超解像法のテストに丁度良いと考えた。距離128 nmの間隔でビオチンタグが挿入されたDNAオリガミ上に,アビジン化金ナノ粒子(直径40 nm)を標識し、複数の粒子が結合したDNAオリガミにおいて金ナノ粒子の散乱像を高速カメラで撮影した(10000フレーム/秒)。この散乱像において超解像イメージング法を用いて粒子の数および位置を推定した。これらの結果から2粒子間の距離を計算したとろ,平均123 nmとなり理論値128 nmに近い値となった。以上の結果からこの手法の有用性が示され、回折限界内に位置するミオシン複数分子の動態を可視化する高速超解像イメージング法が可能であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、画像データを取得することを主な目的としたので、その目的はほぼ達成された。また、蘆田らのアルゴリズムを用いて、DNA折り紙上の2点が正確に測定できたことから、このアルゴリズムは利用価値が高いことを判定することができたため、初年度の実験の目標をほぼ達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度に強度ベクトルの向きから蛍光の位置を決定する方法が発表され、NIHが無償提供しているImageJのプラグインとして、2017年に公開された。そこで、現在得たデータをまずこの方法で超解像を行い、蘆田らのアルゴリズムのどちらがどのような場合に優れているのかを判別する必要が出てきた。18年度はこの方法も含めて検討したい。 金粒子の超解像の研究を進めた際に、金粒子間距離が近づくと散乱像が現象を発見した。これは、おそらく、金粒子のダイポール間相互作用が働いているために、光の波動に影響を与えていると類推した。このゆがみを逆手にとって、この形から、距離を見積もる方法も新たに行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初は、細胞を毎回培養して観察する計画であったが、実験中に、細胞をフォルマリンで固定して、冷蔵庫で保存すると1ヶ月以上観察できることがわかった。そのため細胞及び溶液などの消耗品を節約することができただけでなく、技術補佐員の雇用の必要性がなくなった。さらに、画像取得のために、顕微鏡の光路や細かな改良を行ったが、設計をシンプルにすることで、機能を落とすことなく現有の部品で装置を組むことができたため、新規に購入する必要量を減らすことができたため次年度使用額が生じた。 30年度の使用計画は、動画撮影のために細胞培養の補助員を雇用する。29年度に明らかとなった、金粒子の干渉を抑えるため、新たに全方位照明のための装置を組み立て、超解像法の改良を行う。
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