2018 Fiscal Year Research-status Report
Direct observation of strain-dependent dynamic behaviors of biomolecules by high-speed AFM
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17K19345
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
古寺 哲幸 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 教授 (30584635)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 一分子イメージング / 高速AFM / 生体分子 / モータータンパク質 / 細胞骨格 / DNA結合タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質や核酸といった生体分子の多くは、それらに内外から働く張力や圧縮力といった力学的な負荷によって、機能発現や反応速度が変調されていることが知られてきている。高速AFMで観察中の生体分子に力学的負荷を加えられれば、その変調のメカニズムを詳細に理解できることが期待される。そこで、生体分子に外力を与えながらAFM観察ができるように、新規高速AFM用スキャナーシステムの開発に取り組んでいる。従来のイメージング用スキャナーと独立で動作するマニピュレーション(外部操作)用スキャナーを追加し、そのスキャナーに取り付けられたキャピラリープローブを用いて観察対象に外力を与える仕組である。昨年度までに原理検証の実験には成功していたが、XY方向に自由にマニピュレーターを移動できない、マニピュレーター先端径が200nm程度と生体分子の大きさに比べて大きいという問題があった。今年度は、これらの問題を解決するために、組立プロトコールを徹底的に見直した。具体的には、マニピュレーターを自由に移動できない理由となっていたマニピュレーター先端とAFM観察基板間に働く摩擦力を軽減させるための工夫を行った。マニピュレーターの保持部と先端までの長さ、基板との接触角、基板との接触距離をパラメーターとして摩擦力が小さくなる工夫を行った。また、マニピュレーター先端がハンドリング中に破壊されてしまうという問題が起こっていたが、液中内でマニピュレーターをハンドリングすることで、先端形状を保ったまま組み立てることができることを見出した。その結果、30nm程度に先鋭化したマニピュレーターを用いて、XY軸に自由にマニピュレーションできる性能を持たすことに成功し、アクチン線維のハーフヘリカルピッチを観察しながら、アクチン線維を移動できる性能を持たせることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までに、開発したマニピュレーション機能が付いたスキャナーで350nmのポリスチレンビーズなど、比較的大きな物体をAFM観察下でマニピュレーションできる性能を実現していた。しかし、(1)マニピュレーターはX軸方向にしか動かせず、XY方向(AFM基板面)に自由に動かすことができない。(2)マニピュレーターの先端径が200 nm程度と一般的な生体分子に比べて非常に大きい。という問題があった。(1)の問題は、マニピュレーターとAFM基板間に生じる摩擦力が大きいために生じていることを特定した。そこで、摩擦力をできるだけ抑える工夫、摩擦力が生じても摩擦力に打ち勝ってマニピュレーターを動かせる工夫を施し、解決することができた。一方(2)の問題は、マニピュレーターを製作する際にマニピュレーター先端に機械的な振動力が伝わることで、先端が破壊されてしまうために起こることを特定した。そこで、機械的な振動エネルギーがマニピュレーターを囲う媒体に移動し、マニピュレーター先端に伝わらないような工夫を施し、解決できた。以上の組立プロトコールの見直しを行うことで、30nm程度に先鋭化したマニピュレーターを用いて、XY軸に自由にマニピュレーションできる性能を持ったマニピュレータースキャナーを実現することができた。以上の一連の開発結果をもとに特許申請を行った。現在、実現したスキャナーを用いて、アクチン線維などに外力を加え、それに応じた形状変化を観察している段階である。これまでにアクチン線維のハーフヘリカルピッチを観察しながら、アクチン線維を移動できることが実証されている。
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Strategy for Future Research Activity |
プロトタイプのスキャナー部品をいくつか開発したり、マニピュレーターニードルの固定法、組立法を工夫することで、概ね当初計画していたマニピュレーター機能を持った高速AFM用スキャナーを開発することに成功している。今後は、組立プロトコールのさらなる洗練化を行いつつ、実験効率の向上に関わる工夫((i)マニピュレーターステージのクリーニングによる再利用の可能性、(ii)マニピュレーターを簡便にコントロールできるコントローラーの導入)を行い、バイオ応用実験を進めていく予定である。バイオ応用研究として、まずは、アクチン線維の観察に応用することで、外力依存でアクチン線維の螺旋構造が変化するかを直接捉えたり、アクチン結合タンパク質の相互作用がアクチン線維に加わる張力によって変調されるかを検証する実験を行う予定である。この場合、アクチン線維の一端をAFM基板に固定、もう一端はマニピュレーターに固定するといった工夫が必要になるが、観察基板の条件(脂質膜の濃度や脂質膜の構成比の調製)や溶液条件(溶液の塩強度やpHの調製)、マニピュレーター表面の化学修飾などを検討することによって、研究を推進していく予定である。また、開発したマニピュレーター付スキャナーは、タンパク質分子だけでなく、細胞小器官や細胞の外力印加による応答を観察することにも応用可能である。まずは、取扱いの容易な細菌をターゲットとして、応用研究を進めていくことも計画している。
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[Journal Article] Structure of the UHRF1 Tandem Tudor Domain Bound to a Methylated Non-histone Protein, LIG1, Reveals Rules for Binding and Regulation2019
Author(s)
Kori, S. Ferry, L. Matano, S. Jimenji, T. Kodera, N. Tsusaka, T. Matsumura, R. Oda, T. Sato, M. Dohmae, N. Ando, T. Shinkai, Y. Defossez, P. A. Arita, K.
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Journal Title
Structure
Volume: 27
Pages: 1-12
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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