2017 Fiscal Year Research-status Report
Molecular mechanisms of the biogenesis and secretion of large lipoprotein particles
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17K19377
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐藤 健 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (30311343)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | リポタンパク質 / 線虫 / 分泌 |
Outline of Annual Research Achievements |
リポタンパク質は小胞体において合成される脂質-タンパク質複合体の巨大粒子であり、動物個体全体の脂質恒常性の維持に重要な役割を担っている。しかしながら、その生合成・分泌及び取り込みの分子機構に関しては依然不明な点が多い。線虫C. elegansの卵黄成分はVIT-2等のコアタンパク質とトリグリセリド、コレステロール、リン脂質等の脂質成分からなる巨大なリポタンパク質粒子として腸細胞において合成され、偽体腔へと分泌される。これらの卵黄成分はその後、卵黄受容体を介したエンドサイトーシスにより卵母細胞に取り込まれる。そこで、我々はこの卵黄成分であるVIT-2とGFPの融合タンパク質 (VIT-2::GFP) を発現する線虫株を用いることにより、リポタンパク質の生合成、分泌に関わる新規因子の探索とその生理機能の解析を行った。その結果、SFT-4を欠損すると、VIT-2::GFPの小胞体からの輸出が顕著に阻害されることを見出した。SFT-4は出芽酵母で同定された積み荷輸送体であるErv29pと相同性を持つ膜タンパク質であり、線虫の腸細胞において小胞体および小胞体出芽部位に局在化することが判明した。そこで、SFT-4がリポタンパク質の積み荷受容体として機能する可能性を考え、共免疫沈降法により解析したところ、SFT-4とVIT-2が相互作用することが明らかとなった。一方、SFT-4のヒトホモログであるSurf4についても肝細胞由来であるHepG2を用いて解析を行った。その結果、Surf4の発現抑制によりapolipoprotein B (ApoB) の小胞体からの輸出が顕著に抑制されること、Surf4とApoBが相互作用することなどが明らかとなった。以上の結果から、SFT-4/Surf4はリポタンパク質の小胞体からの輸出を制御する積み荷受容体として働く可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究により、SFT-4/Surf4はリポタンパク質を含む可溶性タンパク質の小胞体からの輸出に働くとともに小胞体輸出部位の形成にも関与することが判明した.これらの研究成果はこれまで不明な点が多かったリポタンパク質の細胞内輸送過程の一端を明らかにするとともに,SFT-4/Surf4の分子機能を解明した点で大変大きな進展があったと思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はSFT-4/Surf4ファミリータンパク質がどのような積み荷タンパク質を特異的に認識し、小胞体からの輸出を制御しているのかについてさらに解析を行う予定である。特に大量に分泌されるインスリン等のホルモン分泌に働く可能性について検討する。また、SFT-4/Surf4ファミリータンパク質がCOPII関連因子とどのように連携して小胞体からのタンパク質輸送を制御しているのか、その分子メカニズムの解明を目指す。
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Causes of Carryover |
研究補助員の適任者がみつからず、30年度に博士研究員を雇用して研究をより推進するために繰り越しした。また、論文の採択・出版が平成30年度になり、その出版費等を平成30年度に繰り越しした。
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