2017 Fiscal Year Research-status Report
細胞内メチル化制御分子可視化のための蛍光プローブの開発と展開研究
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17K19492
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
大高 章 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 教授 (20201973)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 生体内メチル化 / 蛍光プローブ分子 / 生体反応可視化 / アデノシルホモシステイン |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質やDNAに代表される生体高分子のメチル化を司るSAM-MTaseは、がん、エピジェネティックな現象、さらにはウイルス、原虫増殖に深く関与する酵素である。したがってSAM-MTaseによる酵素反応を高効率かつ細胞レベルで可視化することは、メチル化が関連した疾患に対する創薬の基盤技術となる。しかし、可視化を可能とする低分子蛍光プローブ分子の開発は進んでいない。そこで本研究では生体内メチル化現象の制御に大きく関っている酵素として、アデノシルホモシステイン (SAH) 加水分解酵素(SAH hydrolase)を取り上げ、その酵素機能を高効率かつ細胞レベルでの可視化に応用可能な低分子蛍光プローブ分子を開発し、その応用展開を計ることを目的とした。そこで平成29年度における研究では申請者がタンパク質化学合成の一環であるチオエステル合成において検討してきたNーSアシル基転移反応を利用した分子変換戦略を基盤とし、生体内メチル化現象に密接に関連するSAH hydrolase の機能の直接的可視化を可能とする低分子蛍光プローブ分子の開発を行った。主に2種類の蛍光性プローブ分子の開発を行い、アシル転移型プローブは蛍光を発しないが、チイラン形成型プローブ分子がSAH hydrolaseにより変化を受け、蛍光を発するとの知見を得た。本研究成果は今後の研究を推進する上で極めて重要な進展であると判断している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で取り上げるSAH hydrolaseの活性を可視化できる蛍光プローブの開発に成功した。本成果は今後の研究を進展させる上で、不可欠の第一歩であり、これをもって研究はおおむね順調に進展していると判断した。また、幾つかの候補となる蛍光プローブ分子の開発を行ったが、幾つかの知見が得られた。酵素活性中心の結合サイトが比較的コンパクトであり、微細な構造変化によりプローブ分子として機能しなくなる点、開発したプローブ分子が原虫のSAH hydrolaseには反応するが、ヒト型酵素には反応しない点などである。これらの知見は、その解釈の仕方によって、今後の研究推進の方向性を示すものであり、この点からも研究は順調に進展しているものと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の研究により原虫ではあるがSAH hydrolaseに対して反応性を示す低分子蛍光プローブ分子の開発に成功した。本年度は本化合物を出発物質として、さらに反応速度の速い化合物、蛍光収率の良い化合物、ヒト酵素に対しても反応性を示す化合物の開発を進める。また、前年度の研究成果からヒトと原虫では化合物による選択性を出すことが可能であることがわかったので、蛍光プローブ構造の違いを反映させた原虫特異的阻害剤の開発についても検討を加える。また、すでに開発済みの原虫選択的蛍光プローブ分子についてはこれを利用した、化合物ライブラリースクリーニングを行い、原虫選択的阻害剤の取得を行い、その創薬展開について検討する。
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Causes of Carryover |
次年度からの繰り越し額約160万円については、合成用試薬および生化学用試薬購入にそれぞれ60万円および100万円を充当する予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Elucidation of inhibitor-binding pocket of D-amino acid oxidase using docking simulation and N-sulfanylethylanilide-based labeling technology2017
Author(s)
Kohiki, T.; Kato, Y.; Nishikawa, Y.;Yorita, K.; Sagawa, I.; Denda, M.; Inokuma, T.; Shigenaga, A.; Fukui, K.; Otaka, A.
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Journal Title
Organic & Biomolecular Chemistry
Volume: 15
Pages: 5289~5297
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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