2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K19511
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡田 康志 東京大学, 理学研究科, 教授 (50272430)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 細胞内混雑 / 拡散 / 非平衡 / 揺らぎ |
Outline of Annual Research Achievements |
末梢神経(交感神経)培養細胞の軸索輸送をモデル系として、揺らぎの定理の実験的検証を行った。これまでの実験結果と同様、揺動散逸定理からの大きな逸脱が示され、本研究計画の前提が確認された。 また、細胞質内でのタンパク質一分子の拡散動態を計測する手法として確立している蛍光相関分光法について再検討を行った。既存の共焦点顕微鏡を利用した類似手法として、ラスター画像相関分光法RICSが知られているが、ラスター画像相関分光法による結果と蛍光相関分光法の結果が定量的に一致しないことが問題となってきた。今回、共振ガルバノメータを用いた高速走査とフォトンカウンティング検出器を組合せ、ウェーブレット変換など非線形ノイズ除去処理を行うことで、蛍光相関分光法と定量的に一致する計測結果が得られることを示し、細胞質内でのタンパク質拡散動態の計測を同一細胞内の多点で同時に計測することが可能となった。 これと平行して、単粒子追跡法による拡散動態解析のための新規手法の開発を進めた。 蛍光一分子計測の高速化と3次元計測への応用については、輪帯照明型全反射顕微鏡に二焦点光学系を実装し、細胞質内を自由拡散するタンパク質一分子のイメージングが実現し、3次元計測の目処が立った。 更に短い時間スケールからの計測を行い、マルチスケールの揺動計測を実現するために、蛍光ではなく散乱に注目し、散乱光を用いた高速3次元計測のための顕微鏡を構築し、in vitroの系でその検証を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画の前提となる細胞内での揺らぎの定理の実験的検証も進み、平行して揺動計測のための新しい実験系の構築・整備も予定通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
ほぼ予定通りに進捗しており、当初の予定通りに研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
2017年度に購入を予定していた高速カメラについて、2018年度に改良型の新機種が市販化されるとの情報を得たため、高速カメラの購入を2018年度に後ろ倒しし、2017年度には既に所有しているカメラを用いた実験系の整備とカメラを用いない実験系(蛍光相関分光法)の整備を進めた。
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