2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of high-speed AFM/single-molecule FRET to visualize synthesis and degradation of carbohydrate chain
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17K19519
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
内橋 貴之 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (30326300)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 高速原子間力顕微鏡 / 蛍光共鳴エネルギー移動 / 一分子計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
結晶性多糖の分解酵素であるセルラーゼTrCel6Aの触媒ドメインに位置するSer386とセルロース結合ドメインに位置するThr19へシステインを導入したT19C/S386C変異体を作成し、蛍光色素Cy3およびAlexa647を標識したFRET標識試料を作成した。全反射蛍光顕微鏡による1分子FRET単独の計測を行い、蛍光標識したTrCel6Aで十分なF蛍光エネルギー移動(FRET効率~70%)が生じることを確認した。一方、糖転移酵素K4CPに関しては、糖基質CH4, CH6のFRET標識試料の作成を行った。また、K4CPをAlexa647で蛍光標識し、質量分析法によりK4CPのどのCys残基が優先的に標識されたかを調べた。その結果、647番目のCys残基が蛍光標識されることが分かった。これらのFRET標識試料の酵素活性を測定し、蛍光標識試料でも酵素活性を示すことを確認した。これらの試料に関して、1分子FRET計測の実験条件を検討した結果、K4CP-Alexa647を高濃度(10 nM)でガラス基板へ吸着し、そこへ低濃度(1 nm)の蛍光糖基質CH4-Cy3を混合することにより、FRETを検出できることが分かった。さらに、単糖を加えると段階的なFRET効率の減少が観測できたことから、K4CPの糖鎖合成反応を1分子FRETで可視化したと考えられる。装置に関しては、現行の高速AFM/全反射照明蛍光顕微鏡に、2色の蛍光を同時観察できるイメージスプリッティング光学系を組み込み、高速AFM観察と同時に1分子FRET観察が可能な複合機を開発した。これを用いて、FRETプローブ導入済みのセルラーゼTrCel6Aを用いて複合機の動作確認を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
糖鎖分解酵素セルラーぜと糖転移酵素K4CPの両方の試料に関して蛍光標識の最適化を行い、一分子FRET計測が可能な試料調製に成功したこと、また、高速原子間力顕微鏡/一分子FRET同時計測システムの開発に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度調製に成功した、FRET計測用に蛍光標識したセルラーゼとK4CP、および高速原子間力顕微鏡/一分子FRET複合計測装置を用いて、セルラーゼのセルロース結晶上での連続移動運動と糖鎖分解に伴う構造変化、糖転移時のK4CPの構造変化と糖鎖の伸長を同時観察し、それぞれの酵素の動作メカニズムを明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
本年度は主に試料の調製に注力したことと、イメージスプリッティング光学系を他の装置に取り付けられていたものを動作確認も含めて予備的に使用したために、本年度中に全額を使用しなかった。次年度は動作確認されたイメージスプリッティング光学系を購入と高速原子間力顕微鏡/一分子FRET複合装置の操作性を向上するための機械加工等に補助金を使用する。
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