2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K19562
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
橋口 隆生 九州大学, 医学研究院, 准教授 (50632098)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 抗体 / 構造 / 感染症 / ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
抗体は標的分子に対する特異性の高さから医薬品としての注目度も非常に高い。しかし、抗体作製はまだ誰もが気軽にできる技術ではなく、マウス等の動物に抗原を免疫することで取得されたものや、抗体ライブラリーから取得されたものとなっている。そのため大きく確率に依存しており、目的の抗原結合部位と能力を兼ね備えた抗体の取得が困難を極める場合も多い。そこで、本研究ではこうした抗体を取り巻く現在の問題点に対する打開策の一つとして、抗原の立体構造情報に基づいて、抗原の望む部位へ自由自在に抗体をコンピュータ上で理論的に人工設計するシステムの構築を目指している。抗体は医療において診断・予防・治療時に医薬品として用いられるだけでなく、細胞および分子の単離・標識など生命現象を解明するための研究ツールとしても非常に有用であるため人工設計が可能になれば幅広い研究領域に対して大きな貢献が期待できる。本研究における対象疾患としては、抗体に感染阻害能があるかどうかを判断するための機能解析が2-3日で迅速に評価できるウイルス感染症を対象とした。 本年度は我々が以前に構造決定したウイルス糖蛋白質のX線結晶構造に基づき、スーパーコンピュータを使って抗体の構造モデリングとドッキング計算を組み合わせた候補抗体のin silicoスクリーニング系を構築・実施した。抗原と抗体の結合安定性をスコア化し、スコアの高い順に30個のコンピュータ設計抗体を選抜した。この候補抗体をDNA合成した後、抗体蛋白質として発現・分泌させるために培養細胞発現系の条件検討を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
スーパーコンピュータを使っても一連のスクリーニング計算に半年以上かかるため時間短縮が課題となったが、スクリーニング後の実験系構築は順調に構築できた。従って、やや遅れ気味ではあるが、理論的な新規抗体作製法の開発に向けて研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、in silicoスクリーニングの迅速化のためソフトフェアの組み合わせの変更やコンピュータのリソースを追加することを計画している。また、培養細胞発現系の条件を最適化し、コンピュータ設計抗体を用いた感染阻害実験を行う。その結果を受けて、抗原抗体の結合安定性のスコアリングの条件検討やウイルス抗原構造上の標的部位の変更等を行うことで精度を改善させる。
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Causes of Carryover |
必要試薬をキャンペーン等で購入し想定より安く購入できたため。また、想定以上にスーパーコンピュータ計算に時間がかかり、生物学実験が後ズレしたため。
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Research Products
(7 results)