2018 Fiscal Year Research-status Report
Novel therapeutic strategies for amyotrophic lateral sclerosis using human deciduous dental pulp stem cells and their active ingredients
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17K19666
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
保住 功 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (20242430)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 尚佳 岐阜薬科大学, 薬学部, 講師 (00746315)
柴田 敏之 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (50226172)
山本 朗仁 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (50244083)
神志那 弘明 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (50506847)
位田 雅俊 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (70512424)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 (ALS) / ヒト乳歯歯髄幹細胞培養上清 (SHED-CM) / Cu/Zn SOD (SOD1) / 凝集体 / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
筋萎縮性側索硬化症 (ALS)に対するヒト乳歯歯髄幹細胞培養上清 (Stem cells from human exfoliated deciduous teeth-conditioned medium; SHED-CM) の効果について検討する。昨年度は、SHED-CMの異常タンパク質の蓄積の抑制効果を検討した。変異SOD1が蓄積するモデル細胞(A2a細胞)を作製し、共焦点レーザー顕微鏡にて細胞内の凝集体を観察し、Western blot法を用いて不溶性の異常タンパク質蓄積を検討し、SHED-CM処置群では、不溶性異常タンパク質の蓄積抑制効果が明らかになった。本年度は、その作用として、CCK-8を用いた細胞生存率の検討、LDH測定による細胞毒性の評価、Bip、Chopの発現による小胞体ストレスへの影響、CellRoxGreen試薬を用いて酸化ストレスへの影響を検討した。いずれの評価項目においてもSHED-CMが30~70%の範囲内で、至適濃度を持って、その効果が確認できた。今後は、主たる有効成分を中和抗体を用いて検証する。SHED-CMは複数の有効成分を含むいわゆるカクテル製剤である。2017年に我々は、SHED-CM同様に複数の有効成分を含むブラジル産グリーンプロポリスのエタノール抽出成分(EBGP)さらにその含有成分であるケンフェロール(kaempferol)がN2a細胞を用いて、変異SOD1を導入による細胞内凝集体形成に抑制効果のあることを報告した(Sci Rep Ueda et al, 2017)。EBGPは多くの桂皮酸誘導体が含まれている。その成分であるp-coumaric acid(クマリン酸)にオートファジーを介した凝集体形成の抑制効果があることが見出した。これらのカクテル製剤の有効性を確認しつつ、その主たる有効成分の検索も進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SHED-CMの作用として、CCK-8を用いた細胞生存率の検討、LDH測定による細胞毒性の評価、Bip、Chopの発現による小胞体ストレスへの影響、CellRoxGreen試薬を用いて酸化ストレスへの影響を検討した。いずれの評価項目においてもSHED-CMが30~70%の範囲内で、至適濃度を持て、その効果が確認できた。今後は、主たる有効成分を中和抗体を用いて検証する。SHED-CMは複数の有効成分を含むいわゆるカクテル製剤である。我々はブラジル産グリーンプロポリス (EBGP) 及び、その含有成分ケンフェロール(kaempferol)が変異SOD1細胞内蓄積を有意に減少させることを確認した。さらに、その抑制効果にはタンパク分解経路であるオートファジーが関与していることを確認した。また、EBGP中にはp-coumaric acid、artepillinCなどを始めとする桂皮酸誘導体が多く含有されている。しかし、変異SOD1毒性と桂皮酸誘導体との関係は未だ不明である。そこで、変異SOD1蓄積に対する桂皮酸誘導体の影響について培養細胞系を用いて検討した。結果、p-coumaric acid、artepillinCの双方において有意な変異SOD1凝集体抑制効果を確認した。細胞生存率、細胞毒性においてもp-coumaric acid、artepillinC双方が変異SOD1誘発性の毒性を抑制することを確認した。その作用機構において、オートファジーのマーカーであるLC3-IIの上昇、及び、p62の低下を確認した。以上より、p-coumaric acid(クマリン酸)には変異SOD1に対するオートファジーを介した細胞内凝集体抑制による神経保護効果であることが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、SHED-CMの効果、作用機序の解明ではマウス神経芽細胞腫A2a細胞を用いて行ってきたが、今後は主に、ヒトALS患者由来のiPS細胞を用いた実験系でその検証も行う。細胞の入手、分化には時間を要することが予測される。TDP-43変異患者、孤発例のALS患者由来のiPS細胞から運動ニューロンに分化させ、これらの有効性を検証する。ALSでは神経細胞よりむしろアストロサイトの傷害が重要であるといった病態も考慮し、運動ニューロン、アストロサイトにそれぞれ分化させ、その共培養においても検討を主なう。SHED-CMのみならず、比較において、ブラジル産グリーンプロポリス (EBGP)の有効性の検討、有効成分と作用機序の解明を行っていく。当初はin vitroの細胞系だけの実験ではなく、ALSモデルマウス、ラットさらにはALSモデル犬などを活用し、ALSの創薬としての有効性、作用機序の解明を行うことも計画したが、最近の創薬開発の趨勢も考え、疾患特異的ヒトiPS細胞における創薬の検証を一番に優先する。SHED-CM、EBGPなどのカクテル製剤の有効性を確認しつつ、その主たる有効成分の検索も進めていく。また、SHED-CMの有効成分の同定には、網羅的なタンパク質の発現解析法を行い、主たる有効成分と考えられるものは中和抗体を用いてその作用の減弱を検討し、有効性を検証していく。SHED-CMの生体投与における安全性の確認、有効成分が安定したSHED-CMの供給できるシステムなども開発してゆく。今後、臨床的に早期にヒトALS患者に使用できるような創薬開発を目指して、前臨床研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
来年度が研究の最終年度で、当初の計画より多い乳児歯髄幹細胞培養上清液が必要となることが予測されたため、その培養のための予算経費を持ち越しとした。
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Research Products
(5 results)