2017 Fiscal Year Research-status Report
妊娠期における肝幹細胞の活性化機構と生殖機能における役割
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17K19697
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
豊島 文子 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 教授 (40397576)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 肝臓 / 妊娠 / 細胞増殖・分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠期には、母体の複数の臓器でサイズや機能が変化する。特に肝臓は顕著に肥大化することが知られており、母体の代謝機能の昂進に必須と考えられる。臓器の肥大化には肝細胞の増殖・分化が重要であるが、その制御機構や生理機能は不明である。そこで本研究では、妊娠期における肝細胞のダイナミクスと制御機構の解明を目的として研究を行った。 当該年度では、まず、妊娠期の各ステージにおける肝細胞の増殖率を測定したところ、時期特異的に増殖率が増加し、その後減少することが分かった。また、増殖率だけでなく、細胞の大きさも変化することが明らかとなった。次に、肝細胞をラベルできる複数のレポーターマウスを用いて、妊娠の進行に伴う肝細胞のラベルトレース解析を行った結果、レポーターマウスの種類によって肝細胞ダイナミクスが異なることが分かった。すなわち、肝細胞はヘテロな集団であり、妊娠に応答して増殖する細胞集団と、応答しない細胞集団が存在することが示唆された。 また、妊娠に伴って胆管上皮細胞の増殖率も増加することが分かった。非妊娠と妊娠マウスから胆管上皮細胞を単離しRNAseqにより遺伝子発現プロファイルを比較したところ、妊娠期に顕著に増加する複数の遺伝子群が存在することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、妊娠期における肝細胞の増殖パターンと細胞系譜解析、ならびに胆管上皮細胞の遺伝子発現解析を実施・完了することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、妊娠期における肝細胞の遺伝子発現変化を解析する。胆管上皮細胞の遺伝子発現変化と照らし合わせ、肝細胞と胆管上皮細胞の相互作用が存在する可能性を検証する。また、妊娠期において肝細胞または胆管上皮細胞で発現が上昇する遺伝子について、機能抑制による妊娠・胎児成長への影響を解析する。
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