2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of a diagnostic technique for intra-host genetic diversity of norovirus
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17K19784
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
斉藤 繭子 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (20598031)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 感染症 / ウイルス / 遺伝子 / 国際保健 |
Outline of Annual Research Achievements |
ノロウイルスの組み替えウイルスを検出するPCR法の検討のため、従来サンガー法で広く使われているポリメラーゼとカプシド領域の一部をそれぞれ別々のプライマーセットで検出する系ではなく、同じセグメント上にポリメラーゼとカプシド領域の一部が増幅されるように設計したプライマーセット(4766F/GIISKR)を用いて、ノロウイルス遺伝子グループII(GII)陽性であった保存検体(フィリピンの臨床検体)におけるポリメラーゼとカプシドの遺伝子型(P-type, C-type)の解析を行った。その結果11種類の異なるP-typeとC-typeの組み合わせが検出され、この結果をもとに、異なる遺伝子型からそれぞれ数検体ずつを選び、米国食品医薬品局のプロトコール(Parra G, Plos Pathogen, 2017)を参考に、ウイルス遺伝子の全長をPCR法で増幅し、そのうち増幅産物が得られた9検体を用いてDeep Sequencingを施行した。ウイルス遺伝子の全長を増幅するためには検体中の遺伝子量が比較的多いことが条件となることが明らかであったため、混合感染の検出にはより感度が高い前述のプライマーセット(4766F/GIISKR)を用いて59検体のDeep Sequencingを行った。 ノロウイルスの遺伝子グループI(GI)についても、プライマーセットの候補のうち、最も感度が高いと考えられるものを1セット選出し、国内、ペルーで得られたGI陽性の保存検体を用いてプロトコールの最適化を行うと共に、フィリピンのコホート研究から得られた保存検体を用いて一般にカプシド領域の遺伝子型の特定に使用されているプライマーセットとポリメラーゼとカプシド領域の一部を含むプライマーセットにおける感度、特異度を比較した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年にノロウイルスの全ゲノム解析に関する論文を発表した米国食品医薬品局との情報交換により、Deep Sequencingによる全ゲノム解析を実施したが、シーケンス前の検体調整に必要な試薬の輸入と最適化に時間がかかったため、当初の予定にあった一分子シーケンシングの開始まで至らなかった。また、一分子リアルタイムシーケンシングの方法に関して、当初計画していた外部委託では不確定要素が多く、一検査当たりの経費が安価な機器を使用してシーケンスを施行しつつプロトコールの最適化を行うこととした。フィリピン、ペルーでの検体確保については順調であるが、日本国内の検体採取が一施設の症例研究によるため、検体数が十分に確保されていない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に行った全ゲノム解析のプロトコールの感度が想定よりも低かったため、これまで行っていたRNAの抽出方法を変更し、感度の向上を目指す。また、全ゲノムシーケンスから得られたデータと、4766F/SKRによるデータを比較し、異なる遺伝子型の検出率を比較する。一分子リアルタイムシーケンス法については精度の問題があることが知られており、次世代シーケンシンサー(第二世代)で行った塩基配列データとのクオリティの違いを比較検討する。また、異なる背景を持つ検体としてフィリピンの検体に加えて、ペルー、日本国内の臨床検体を加えて混合感染、組み替えウイルスの感染割合などが地域や背景因子によって異なるかについて検討を行う。GI陽性検体についてもGIIと同様に全ゲノムの増幅を行い、Deep Sequencingによる全ゲノムの解析、4766F/SKRによる混合感染の検出を行うためのプロトコールの最適化を進め、報告をまとめる。日本国内での検体数確保のため、新たな施設での検体採取を施行する。
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Causes of Carryover |
全ゲノム解析に関して、シーケンス前の検体調整に必要な試薬の輸入と最適化とシーケンシングの実施に時間がかかったため、当初の予定にあった一分子シーケンシング法の開始に至らなかった。また、一分子リアルタイムシーケンシングの方法に関して、当初計画していた外部委託では、一検査あたりの費用が高額かつ検査可能な検体数に関して不確定要素が多くあるため、初期費用がかからず、一検査当たりの経費も安価な機器を使用してシーケンスを施行しつつプロトコールの最適化を行うこととした。これに伴い、使用期限が比較的短い試薬の購入を29年度には行わず、検体の前処理方法を比較検討した上で試薬等を30年度に購入し、まとめてシーケンスを行う事とした。
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