2019 Fiscal Year Research-status Report
出所後に子育てが必要な女子受刑者への刑務所内支援モデルの開発
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17K19837
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
望月 明見 自治医科大学, 看護学部, 講師 (30289805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 純子 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 地域・司法精神医療研究部, 流動研究員 (00617467)
成田 伸 自治医科大学, 看護学部, 教授 (20237605)
田村 敦子 自治医科大学, 看護学部, 准教授 (70724996)
橋爪 祐美 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (40303284)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | 親子関係再構築 / 親子分離 / 女子受刑者 / 社会復帰 / 母子関係 / 養育問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度より2018年までで「受刑経験のある母親と子どもとの関係性再構築と女性の社会復帰後の体験」の調査に取り組み、質的分析に時間を要した。2019年は、「受刑経験のある母親と子どもとの関係性再構築と女性の社会復帰後の体験」研究の質的研究の分析から【受刑経験のある女性の社会復帰における子どもとの関係の問題】を明らかにした。その問題とは、①経済的な問題で自立して養育が困難②子どもと分離したことによる絆(つながり)の減少・複雑化③人への不信感からの社会的孤立:社会に助けを求めない④パートナーとの関係を重視するため社会復帰に影響する⑤(薬物依存者の場合)薬物との関係性のあるつながりを切ることが難しい、ということを明らかにした。また、この結果と先行研究との知見を合わせ、【受刑経験のある女性の養育に関する問題点】について、更に検討を重ねた。その結果、1.親子分離、親子分離継続による母子間の絆・愛着の希薄、2.親準備性の問題(知識と体験の欠如)、3.世代間伝達(モデルの欠如)、4.母親である者の心身の状況(精神疾患や依存症の回復)、5.孤立した養育環境(資源へのアクセス困難)、6.経済的自立(養育環境の準備)の困難、7.子ども側の問題、8.受刑中に子どもを養育していた者との感情的問題、9.新しいパートナーを得た場合の問題、があることを導き出した。これらの知見は、第60回日本母性衛生学会学術集会や、第75回助産師学会で発表を行った。さらに、これらの受刑経験のある女性の養育に関する問題をふまえて、「子どもを持つ女子受刑者の子どもとの関係性の実態とその支援ニーズに関する研究」で使用する自作の質問紙作成を行い、次年度の調査のための準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度より2018年で「受刑経験のある母親と子どもとの関係性再構築と女性の社会復帰後の体験」の調査に取り組み、2019年は、その質的研究から導きだされた、受刑経験のある女性の養育に関する問題をふまえて、「子どもを持つ女子受刑者の子どもとの関係性の実態とその支援ニーズに関する研究」の研究実施を行う予定であった。しかし、この研究の研究対象者は、受刑中の子どものいる女子受刑者としているため、調査施設である女子刑務所を管轄している法務省矯正局への研究実施依頼を行う必要があり、打ち合わせに時間を要する結果となった。2019年は最終年度であったため、調査実施を行えるように努力をしたが、法務省からの打診で2020年度に調査実施できるように準備するとの回答を得たため、次年度に持ち越すことになった。進捗は遅れているが、確実に刑務所での調査実施を行うためには必要な時間であったと評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年に行う「子どもを持つ女子受刑者の子どもとの関係性の実態とその支援ニーズに関する研究」では、全国にある女子刑務所の数か所(場所は打ち合わせ中)において、18歳以下の子どものいる女子受刑者200名程度に調査を行う予定である。調査項目は、受刑中の子どもの状況などの実態調査と、支援ニーズを明らかにするための、社会復帰に対するレディネスと子どもとの関係再構築に関するレディネスの意識調査を行う予定である。研究実施には、法務省矯正局の理解が不可欠であるが、今まで培った関係性を保ち、実施可能に向けて調整を引き続き行う予定である。また、本研究プロイジェクトの大目的は、女子受刑者の出所後の更生と子どもとの適切なつながりが持てるような支援モデルの構築を模索することである。この最終的目的達成のために、最終年度は、研究分担者との協働を得られるように密に調整を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
2019年に調査実施を行いたかったが、法務省矯正局との依頼に時間を要したことで、次年度に研究実施を持ち越すことになった。しかし、時間をかけたことにより、法務省矯正局からの研究に関しての理解を得ることができ、2020年度に、法務省矯正局の全面的な協力を得て調査実施できることが予定されている。今後の研究費の使用計画として、量的調査用紙の実施に向けての準備や、研究実施・分析関わって生じる経費に使用する。また、今年度に予定されている、学会への発表にかかる経費での使用を予定している。
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Research Products
(4 results)