2021 Fiscal Year Research-status Report
出所後に子育てが必要な女子受刑者への刑務所内支援モデルの開発
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17K19837
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Research Institution | Otemae University |
Principal Investigator |
望月 明見 大手前大学, 国際看護学部, 講師 (30289805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 純子 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 地域・司法精神医療研究部, リサーチフェロー (00617467)
成田 伸 自治医科大学, 看護学部, 教授 (20237605)
田村 敦子 自治医科大学, 看護学部, 准教授 (70724996)
橋爪 祐美 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (40303284)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2023-03-31
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Keywords | 女子受刑者 / 母親 / 養育 / 虐待 / メンタルヘルス / 支援ニーズ |
Outline of Annual Research Achievements |
法務省で行われた調査は、2020年12月~2021年2月にかけて行われた。その後、法務省側により個人情報などがわからないように処理をしたデータを受け取り、2021年度はそのデータの分析を行った。データ分析では、男子受刑者・女子受刑者の集団による差異を比較検討し、性差による養育に関する課題を明らかにすることを試みた。分析対象者は女子受刑者95名(28.1%)男子受刑者79名(21.6名)であり、全体では174名(24.7%)であった。子どもの時代のトラウマティックな経験が、親役割を持つ女子受刑者の精神的な健康問題に影響を及ぼしていた。メンタルヘルスの問題は犯罪への世代間連鎖を生むことから、子を持つ受刑者たちが親としての責任を出所後の生活において果たしていくためには、無視できない健康課題である。Arditti & Few (2006)は,子を持つ女性受刑者の出所後の母子関係を害する“3つの危機”として,1.精神的な健康問題,2.家庭内の暴力被害,3.薬物依存を挙げており,本研究の結果からも,日本の子を持つ女性受刑者も同様の問題を抱えていることが明らかとなったと言える。 以上の結果・考察をまとめ、2021年10月「18歳未満の子のいる受刑者の養育実態から考える支援ニーズ」:刑政132巻第10号p22ーp33 に論文発表した。 また、2021年8月では、日本フォレンジック看護学会第8回学術集会において、「受刑中に出産した女性たちの母親になるための戦略」の口頭発表を行い、学会の最優秀賞を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍で、調査などの準備や関係機関との調整に手間取っていたが、今年度はその努力が報われた形で結果を出すことができている。
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Strategy for Future Research Activity |
今まで得られた調査結果をもとに、論文をさらに発表し公表していく予定である。また、研究分担者や研究協力者とミーティングを行い、子どものいる女子受刑者への支援モデル構築を目指していく予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は、残りのデータの分析費用に使用予定である。また、研究結果をもとに、子どものいる女子受刑者の支援モデル構築し、その内容を冊子にし、関係各所への研修会を行う予定とするため、その経費に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)