2019 Fiscal Year Research-status Report
口腔機能向上効果プログラムが有する大脳認知機能局在部位との機能的結合の探索的解析
Project/Area Number |
17K19858
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Research Institution | Fukuoka College of Health Sciences |
Principal Investigator |
力丸 哲也 福岡医療短期大学, 歯科衛生学科, 教授 (10299589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大倉 義文 福岡大学, 医学部看護学科, 教授 (80352293)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | 認知機能 / 口腔機能向上プログラム / 大脳前頭前野 / 近赤外線分光法 / 機能局在部位 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究期間の3年目である平成31年度には、主に平成30年度に得られたA)舌筋(舌圧)とB)口唇閉鎖力に関連するプログラム課題による大脳前頭前野の活性化効果について再検証と解析を行い、下記の大脳前頭前野の機能局在部位の活性化の特徴を取り纏めることができた。 A)舌筋(舌圧)のトレーニング器具の装着により、左背外側領域(DL-PFC)に優位な活性化の変化が見出され、舌・口唇の接触刺激による三叉神経を介した機能局在部位の活性化の特徴が認められた。さらに、トレーニング器具の負荷(強度)を増やすことで、左背外側領域(DL-PFC)のみならず、左腹外側領域(VL-PFC)においても活性化反応の増加が認められ、舌の運動による舌下神経を介した機能局在部位の活性化の変化について用量・反応関係(dose-response relationship)が示唆された。 B)口唇閉鎖力に関連するトレーニング器具の装着により、左背外側領域(DL-PFC)と左腹外側領域(VL-PFC)に優位な活性化が見出され、A)と同様に舌・口唇の接触刺激による三叉神経を介した大脳前頭前野の機能局在部位の活性化が示唆された。負荷(強度)を増やすことで、装着時に認められた2つの機能局在部位において活性化反応の増加が認められ、口輪筋の運動に伴う顔面神経を介した機能局在部位の活性化に用量・反応関係が認められた。 新たに見出された上記の大脳前頭前野の活性化に関する知見から、A)舌筋(舌圧)とB)口唇閉鎖力に関連する口腔機能向上プログラム課題は左背外側領域(DL-PFC)や左腹外側領域(VL-PFC)等を活性化することで認知機能向上のためのプログラム課題の候補となり得る可能性が示唆された。 また、機能的結合の探索的解析を進めるため、口腔ケアプログラムに伴う血液中の認知機能関連因子の変化を探索する臨床介入研究も並行して実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度に得られたA)舌筋(舌圧)とB)口唇閉鎖力に関連するプログラム課題の遂行による大脳前頭前野の活性化効果について再検証とデータ解析を行うことで、大脳前頭前野の機能局在部位である左背外側領域(DL-PFC)と左腹外側領域(VL-PFC)の2つの領域に関する活性化の特徴を取り纏めることができた。 また、認知機能の向上を促す口腔機能向上プログラムの臨床応用を見据え、高齢者施設入所者を対象とした3ヶ月間の口腔ケアプログラムに伴う血液中の認知機能関連因子の変化を探索する臨床介入研究も並行して実施しており、本研究課題の目的である口腔機能向上プログラムと大脳認知機能局在部位との機能的結合の探索的解析をさらに進めることができている。 次年度には、得られた研究成果について学会演題発表と原著論文として取り纏めることを進めており、研究活動はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度の研究成果として得られた、A)舌筋(舌圧)とB)口唇閉鎖力に関連する口腔機能向上プログラム課題が有する大脳前頭前野の活性化効果について、学会演題発表と原著論文の執筆に向けて統計学的解析を進めていく。 さらに、高齢者施設入所者を対象とした3ヶ月間の口腔ケアプログラムを実施している臨床介入研究についても、改訂長谷川式簡易知能評価やMMSE(Mini Mental State Examination)等の認知機能の評価指標の解析とともに、血液中の認知機能関連因子の変化との関連についても検討することで、本研究課題の目的である口腔機能向上プログラムと大脳認知機能局在部位との機能的結合に焦点を当てて解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
口腔機能機能向上プログラムと大脳前頭前野の機能局在部位の活性化との関連について得られた新たな知見に基づき、認知機能の向上を促す口腔機能向上プログラムの臨床応用を見据え、高齢者施設入所者を対象とした臨床研究を前倒しで実施している。 上記の研究計画の変更に伴い、臨床研究の追加や、学会発表および論文執筆を行う予定である。
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