2020 Fiscal Year Research-status Report
口腔機能向上効果プログラムが有する大脳認知機能局在部位との機能的結合の探索的解析
Project/Area Number |
17K19858
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Research Institution | Fukuoka College of Health Sciences |
Principal Investigator |
力丸 哲也 福岡医療短期大学, 歯科衛生学科, 教授 (10299589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大倉 義文 福岡大学, 福岡大学・医学部看護学科, 教授 (80352293)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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Keywords | 認知機能 / 口腔機能向上プログラム / 大脳前頭前野 / 機能局在部位 / 学習効率 / 近赤外線分光法(NIRS) |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の補助事業期間を延長した令和2年度には、主に平成31年度(令和元年度)に得られたA)舌筋(舌圧)とB)口唇閉鎖力に関連するプログラム課題による大脳前頭前野の活性化効果について再検証を行う計画であったが、4月からの本格的なコロナ対応を余儀なくされ、近赤外線分光法(NIRS)を用いた対面での実験解析を行うことが困難な状況であった。そのため、平成31年度(令和元年度)に取り纏めた下記の大脳前頭前野の機能局在部位の活性化の特徴等を再検討し、オンラインでの学会演題発表と関連する研究成果を学術論文として取り纏めた。 A)舌筋(舌圧)のトレーニング器具の装着により左背外側領域(DL-PFC)に生じる有意な活性化の変化と舌・口唇の接触刺激による三叉神経を介した機能局在部位の活性化の特徴について取り纏め、第43回日本神経科学大会(令和2年7月)においてオンラインでの演題発表(英語の口頭発表)を行った。 B)口唇閉鎖力に関連するトレーニング器具の装着による三叉神経を介した大脳前頭前野の機能局在部位の活性化について解析データを再解析し、口輪筋の運動に伴う顔面神経を介した機能局在部位の活性化に関する用量・反応関係について再検証を行った。 さらに、上記の口腔機能に関連する研究課題として、三叉神経を介した寒冷刺激による大脳前頭前野の機能局在部位の活性化について、学術論文(英文:査読有り)として取り纏めた。新たに取り纏めた口腔関連刺激プログラム課題は、左背外側領域(DL-PFC)や左腹外側領域(VL-PFC)等の大脳前頭前野を活性化するため、認知機能向上のためのプログラム課題の候補となり得る可能性が示唆された。また、機能的結合の探索的解析を進めるため、口腔ケアプログラムに伴う血液中の認知機能関連因子の変化を探索する臨床介入研究も並行して実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
A)舌筋(舌圧)とB)口唇閉鎖力に関連するプログラム課題の遂行による大脳前頭前野の活性化効果について再検証とデータ解析を行い、A)舌筋(舌圧)のトレーニング器具の装着により左背外側領域(DL-PFC)等に生じる三叉神経を介した機能局在部位の活性化の特徴について取り纏め、第43回日本神経科学大会(令和2年7月)においてオンラインでの演題発表(英語の口頭発表)を行った。 また、上記の口腔機能に関連する研究課題として、三叉神経を介した寒冷刺激による大脳前頭前野の機能局在部位の活性化について、学術論文(英文:査読有り)として取り纏めることができた。 認知機能の向上を促す口腔機能向上プログラムの臨床応用を見据え、高齢者施設入所者を対象とした3ヶ月間の口腔ケアプログラムに伴う血液中の認知機能関連因子の変化を探索する臨床介入研究を並行して実施しており、本研究課題の目的である口腔機能向上プログラムと大脳認知機能局在部位との機能的結合の探索的解析をさらに進めることができている。 次年度には、得られた研究成果について学会演題発表と原著論文として取り纏めることを進めており、研究活動はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度の研究成果である、A)舌筋(舌圧)とB)口唇閉鎖力に関連する口腔機能向上プログラム課題の実施による大脳前頭前野の活性化効果について、学会演題発表と原著論文の執筆に向けて統計学的解析を進めていく。 さらに、高齢者を対象とした3ヶ月間の口腔ケアプログラムを実施する臨床介入研究について、改訂長谷川式簡易知能評価やMMSE(Mini Mental State Examination)等の認知機能の評価指標の解析とともに、血液中の認知機能関連因子の変化との関連についても検討し、本研究課題の目的である口腔機能向上プログラムと大脳認知機能局在部位との機能的結合に焦点を当てて解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
令和2年4月からの本格的なコロナ対応を余儀なくされ、近赤外線分光法(NIRS)を用いた対面での実験解析を行うことが困難な状況であった。その状況に伴い、学会発表と英文学術論文の作成を行ったため、次年度使用が生じた。 また、口腔機能向上プログラムと大脳前頭前野の機能局在部位の活性化との関連について得られた新たな知見に基づき、認知機能の向上を目的とした口腔機能向上プログラムの臨床応用を見据え、高齢者施設入所者を対象とした臨床研究を前倒しで実施している。 上記の研究計画の変更に伴い、補助事業の目的をより精緻に達成するため、臨床研究の追加や学会発表・論文執筆を行う予定である。
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