2021 Fiscal Year Annual Research Report
The Nature of Quakers' Decision-Making and Its Applied Possibility to Democracy
Project/Area Number |
17KK0035
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
中野 泰治 同志社大学, 神学部, 准教授 (80631895)
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Project Period (FY) |
2018 – 2021
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Keywords | クエーカー / 合議形式 / 沈黙の礼拝 / 敵・異質なものへの愛 / M・P・フォレット / 熟議民主主義 / 組織論 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年3月4日に英国入りしたが、14日間の自宅隔離の後、同月23日からコロナによるロックダウンが発表され、当初予定していたインタビュー・アンケート調査による社会学的角度からのクエーカーの合議形式の研究が難しくなった。そのため、研究内容を実地的なものから理論的なものへ、つまりクエーカーの合議形式の理論的研究へ変更し、アマゾンやオンラインアーカイブなどネットで収集可能な資料を用いて、合議形式の特質について調査した。なお、ロックダウン中はクエーカーの礼拝や業務集会は、主にZoom上で行われていたが、ミーティングハウスの外で、二・三名(+Zoomでのハイブリッド形式)で礼拝を行うものもいたので、将来の社会学的調査のためのデーター収集のために、野外礼拝のビデオ撮影および数名のインタビューを行った。クエーカーには三つの伝統(自由主義、福音派、保守派)があり、英国のクエーカーは自由主義クエーカーに当てはまるが、彼らの合議形式の研究を行う過程で、(1)自由主義といっても信仰内容は非常に多種多様であること、彼らの合議形式の解釈ストーリーは、キリスト中心主義(クリスチャン・クエーカー)とユニテリアニズム的(普遍救済論者的)なもの(ユニテリアン・クエーカー)に大別できることが分かった。しかし、彼らの合議についての解釈はそれぞれ異なるものであるが、前者にとって敵への愛を説いたイエスに倣って異質なものへ開かれた態度を取ること、後者にとって近代啓蒙主義的な伝統から他者に尊重する態度を取ることが分かり、解釈内容は異なれど、異質なものへ開かれようとする合議形式では相違がない点が確認された。(2)また、彼らの合議形式は、20世紀初頭の米国の研究者であるM.P.フォレットの組織論と非常に似ており(クエーカー自身もそのように考えている)、彼女の組織論を分析することで、開かれた合議の特性について明らかにした。
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Research Products
(5 results)