2022 Fiscal Year Research-status Report
The Body Politics of Migration: Globalization of Indian Dance and Agencies
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17KK0038
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
竹村 嘉晃 国立民族学博物館, グローバル地域研究国立民族学博物館拠点, 特任助教 (80517045)
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Project Period (FY) |
2018 – 2023
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Keywords | インド音楽・舞踊 / グローバル化 / 移民 / ネットワーク / エージェンシー / モビリティ / 個人 / 創造性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、新型コロナウィルスの感染状況に伴う海外渡航制限が緩和されたことから、文献研究にくわえてインドとシンガポールで補足調査を実施したほか、研究成果を公開するために国際シンポジウムを開催した。 2022年7月には、シンガポールにおけるコロナ禍でのインド芸能の実践活動や教授法、芸能をとりまくコミュニケーションに関するオンライン調査をまとめ、ポルトガルで開催された国際伝統音楽学会(ICTM)にて研究発表(オンライン)を行い、他のコロナ関連のパネル参加者と情報共有した。11月にはシンガポールでの短期補足調査を実施し、ポスト・コロナへと移行しつつあるシンガポール社会において、インド芸能祭のイベント動向と人びとの芸能の受容動向について参与観察と聞き取り調査を行った。12月から2023年1月にかけては、インドの複数都市で現地調査を行い、各種芸能イベントにおける国内外からの参加者の動向と芸能伝承をめぐるカースト間などのポリティクス、実演家たちの国際的なネットワークについて調査した。それらの収集したデータをまとめ、国立民族学博物館にて1月下旬と3月中旬にに開催された「環インド洋地域研究 第一回国際シンポジウム」と特別研究「グローバル地域研究と地球社会の認知地図―わたしたちはいかに世界を共創するのか?」のパネルセッションにて研究発表を行い、参加者と意見交換を行った。 また2月に行ったシンガポールでの短期調査のデータをふまえ、3月には本研究の主題について議論する国際シンポジウムを京都大学で開催した。若手を含む研究協力者をイギリスとアメリカから招聘し、インド芸能のグローバル化を担う実演家個人のモビリティと創造性、当該地域のインド系コミュニティとの関係性や国際ネットワークについて議論を深め、地域間の差異や共通点などを明らかにした。これらの成果をまとめた単著を刊行すべく、現在執筆を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度と同様に、新型コロナウィルスの感染拡大と変異株の世界的な流行による海外渡航制限の影響から、イギリスでの長期在外研究は実施することができなかったものの、シンガポールとインドにおいて短期間の補足調査を実施したことで、新たなデータを収集することができた。またこれまでに構築したネットワークを用いて、オンラインのプラットフォームによる海外研究協力者との意見交換やインフォーマントへのインタビュー調査を積極的に進めたことで、情報の共有とデータ収集を概ね順調に進めることができた。 くわえて、昨年度にまとめたシンガポールにおけるラーマーヤナの受容動向に関する日本語論文を推敲した英語論文が論集として刊行されたほか、これまでのデータをまとめた成果を積極的に国際学会やシンポジウムで発表し、本研究の成果として海外研究者を招聘した国際シンポジウムも開催することができたことから、研究上の進展は大いにみられたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は今年度で終了を予定していたが、国際シンポジウムの成果を含むこれまでの研究成果を公表するために、来年度まで延長することとなった。令和5年度の活動計画としては、2023年7月にイタリアで開催されるヨーロッパ・南アジア学会にて、研究成果の一部をまとめた研究発表を行い、ヨーロッパのインド芸能研究者と交流を図りながら意見交換を行う。またヨーロッパにおけるインド系移民と芸能の結びつきに関する情報の収集につとめ、可能な限りイギリスやヨーロッパでの短期調査を実施する。 一方、令和5年度は、本研究の成果をとりまとめた単著の準備も進めていく。現在協議中の出版社と原稿について意見交換を行い、出版助成に関する助成金の獲得を目指す。また3月に実施した国際シンポジウムの成果公開に関して、海外招聘研究者と意見交換を行い、具体的な可能性を模索するほか、新たに浮かび上がってきた課題について、同メンバーを中心に研究プロジェクトの立ち上げに向けた企画の立案とプロジェクトの構想を進めていく。
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