2022 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of microstructural changes on DLC films by heating to improve heat resistance
Project/Area Number |
17KK0111
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
赤坂 大樹 東京工業大学, 工学院, 准教授 (80500983)
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Project Period (FY) |
2018 – 2022
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Keywords | ダイヤモンド状炭素膜 / 炭素 / PEEM / NEXAFS / sp2結合 / sp3結合 / 摺動 |
Outline of Annual Research Achievements |
ダイヤモンド状炭素(DLC)膜のsp2/sp3結合炭素比と耐熱性の関係を明らかとし,局所的な熱分解過程をタイの放射光施設(SLRI)との国際共同研究により明らかとする事を目的として研究を実施した.2022年度後半にコロナ感染症拡大により2020年度よりとまっていた渡航が動き出し,SLRIに渡航し,共同研究者と共にビームライン3.2を用いて予定していた最後の放射光時間を使用しての解析研究を実施することができた.DLC膜の局所加熱によるsp2/sp3結合炭素の変化を評価するため,Nd:YAGレーザー(1064 nm)を照射したDLC膜の照射痕内のsp2/sp3結合炭素の分布およびレーザー強度依存性についてのSLRIでのX線吸収微細構造(NEXAFS)に併設した光電子顕微鏡(PEEM)を用いた炭素のk端付近(284 eV)のX線を照射時の光電子の2次元分布像を観察による最後の1種類の試料の構造評価をおこなった.この結果,レーザー照射による急激な熱印可において,その中央部ではsp2炭素量が急激に上昇し,熱によるsp3からsp2への変化がその印加熱量(レーザーの場合にはフォトン量)に依存することが明らかとなった.更にこの時の結果を基にレーザー照射においてはその表面部が熱により分解若しくは溶融している可能性が高いことも示された.これらの結果から,DLC膜の炭素の結合状態の熱によるsp3結合性炭素のsp2結合性炭素への変化領域と速度が印可される熱量に依存しており,次の課題となるDLC膜の摺動等の他の熱関係現象についても放射光を用いた光電子顕微鏡を用いた観察により,結合状態変化を捉えることができた.
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