2023 Fiscal Year Annual Research Report
Design of hybrid particles with solid catalyst and enzyme for cascade catalytic reactions
Project/Area Number |
17KK0124
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
石井 治之 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (80565820)
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Project Period (FY) |
2018 – 2023
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Keywords | 金ナノ粒子 / 固体触媒 / 酵素 / 金マイクロチューブ / カスケード反応 / グリーンケミストリー |
Outline of Annual Research Achievements |
酵素は温和な条件で各種反応を触媒でき、環境低負荷な工業プロセスを実現するために適した触媒である。しかしながら、酵素自体が高価で失活しやすく改良すべき課題も多い。これに対し固体触媒の分野では、固体触媒をナノサイズ化したナノ粒子を用いた研究が広く行われている。触媒ナノ粒子は高い表面積に起因する優れた触媒能が期待でき、近年では酵素と同様の各種酸化・還元反応を触媒することが報告されている。本研究では酵素および触媒ナノ粒子による新たな触媒反応プロセスの開発を目指す。例えば、温和な条件で新たな材料創成となる反応プロセスの構築や、酵素や酵素と似た触媒能を示す金属ナノ粒子などの触媒能を組み合わせた反応(カスケード反応など)の実現可能性の評価を目的に研究を行う。 2023年度は、金ナノ粒子の各種酸化・還元反応における触媒能を網羅的に評価した。初期反応においては酵素添加時の反応速度が金ナノ粒子添加時に比べ上回った。これに対し、基質と長期共存した条件など酵素が失活しやすい条件では、金ナノ粒子の方が高い触媒能を示した。また金ナノ粒子を3次元的に集積させた金マイクロチューブにおいて、幅広い条件で作成できること、触媒反応で重要な電子移動に関連する導電性も確認できた。コロナ禍の影響で渡航期間180日未満であったが、適宜オンライン会議や共同研究者の訪日時のディスカッションを通して研究を進め、完了した。 本研究で得た成果として、金ナノ粒子の各種酸化・還元反応の評価を行い、幅広い反応を触媒する金ナノ粒子に対し、酵素を組み合わせて連続的な触媒反応が可能であることを示した。また、金イオンの触媒反応を通じて導電性を有する機能性材料を簡便に作製することができた。さらには、自発的な金マイクロチューブ生成機構を見出した。これは流通型反応やマイクロリアクターの固定化触媒かつ酵素固定化の担体として有用な新規材料である。
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