2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17KK0129
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
兼橋 真二 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80553015)
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Project Period (FY) |
2018 – 2022
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Keywords | 二酸化炭素 / 膜 / 地球温暖化 / ハイブリッド / コンポジット / バイオマス / MOF / 分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
世界的に深刻な環境問題である地球温暖化に対し、その原因とされる二酸化炭素(CO2)排出量の削減が急務とされている。これに対し、CO2削減の抜本的かつ有効な対策として注目されているCO2回収貯留技術(CCS)の実証試験が現在世界中で進められている。本申請ではこのCCSにおける回収技術として大きく期待されている省エネルギーかつクリーンな経済性の高い膜分離法に着目する。このCO2分離膜材料には高いCO2透過性と分離性および実用環境での性能安定性が求められる。本研究の目的は、高分子と多孔性ナノ粒子からなる高分子ハイブリッド分離膜の実ガスを想定した分離性能試験および分離膜モジュールの試作を検討し、CO2高分子分離膜の実用化を目指すものである。具体的には、基課題である①実ガスを想定した不純物を含む混合ガスを用いた高分子分離膜のCO2分離性能および②分離膜の薄膜化と分離膜モジュールの作製および③新規な高分子分離膜の作製(超臨界二酸化炭素(ScCO2)による分離膜の作製、再生可能資源の活用)を計画している。 2019年度は、現地メルボルン大学で以下の実験を実施した。高分子ハイブリッド分離膜の開発と機能性評価に関し、高分子分離膜の物性評価、基礎的な膜分離特性(単ガスによる透過性評価および理想分離係数の算出)、単ガスによる溶解性評価(収着量測定)を行った。また不純物である水存在下でのCO2混合ガス試験も実施した。また新規に作製した再生可能資源と酢酸セルロースからなる高分子分離膜の基礎的膜物性評価を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基課題である実ガスに含まれる不純物のひとつである水蒸気を含む混合ガスを用いた高分子ハイブリッド膜の分離性能評価、薄膜形成の初期検討を実施した。また新規な高分子分離膜の創製研究として、超臨界二酸化炭素を用いた高分子分離膜の改質(2018年度実施)以外に、新規材料として、再生可能資源を有効利用した新規な高分子分離膜の創製を2019年度の目標と設定した。当初の予定通り順調に研究が進んでおり、予定を十分達したと考えている。引き続き、計画に従い、研究を遂行していく。
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Strategy for Future Research Activity |
2020度では前年度に引き続き、新規分離膜の開発、分離膜におよぼす不純物の影響の解明、分離膜モジュールで重要な分離層の薄膜形成の検討を継続して行う。2019年度に新規に作製した再生可能資源と酢酸セルロースからなる高分子分離膜の詳細な膜分離性能を評価していく。2020年度もメルボルン大学に渡航し、研究の進捗に関する打ち合わせおよび上記内容に関連する実験を行う(予定)。
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