2020 Fiscal Year Research-status Report
A Research of Epithelium-Immune Interaction during Mucosal Repair in Inflammatory Bowel Disease
Project/Area Number |
17KK0166
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
林 周作 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (10548217)
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Project Period (FY) |
2018 – 2021
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Keywords | 粘膜治癒 / 炎症性腸疾患 / 腸管上皮細胞 / CD11c陽性細胞 / GPCR / 大腸オルガノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、昨年度に続きミシガン大学のAsma Nusrat教授のラボで研究を実施した。Nusratラボでは、傷害を受けた腸管粘膜の修復制御における腸管粘膜に存在する上皮細胞や免疫細胞に発現するGタンパク質共役型受容体(GPCR)の病態生理学的意義を明らかにするプロジェクトを進めており、腸管上皮細胞に発現するGPCRではロイコトリエンB4(LTB4)の受容体BLT1、CD11c陽性免疫細胞ではホルミルペプチド受容体FPRの役割に着目して研究を進めた。 大腸粘膜に大腸内視鏡下にて生検法による粘膜傷害を作製したin vivo粘膜修復モデルでは、傷害された腸管粘膜の修復過程にて腸管上皮細胞上のBLT1のmRNA発現が上昇することをRNAscopeを用い観察している。また、ヒト炎症性腸疾患患者の生検サンプルでは健常人に比べてBLT1のmRNA発現が上昇していた。さらに、BLT1欠損マウスでは、in vivo粘膜修復モデルにおける粘膜治癒が遅延していた。大腸オルガノイドを用いたin vitro損傷修復モデルにおいて、LTB4は修復速度を促進し、この修復促進作用はBLT1欠損マウス由来の大腸オルガノイドでは認められなかった。BLT1の活性化が、腸管上皮細胞の遊走および増殖の制御に関与する結果も得ている。これらの知見は、傷害された腸管粘膜の修復に腸管上皮細胞上のBLT1が積極的に寄与することを示唆している。 また、CD11c陽性な免疫細胞特異的にFPRを欠損したマウスでは、上述した物理的な粘膜傷害および化学物質によって惹起される粘膜傷害の二つのin vivo粘膜修復モデルにおいて粘膜修復の遅延が観察された。 今後の研究を発展させるため国際研究ネットワークを構築することを心掛け活動した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
腸管粘膜に存在する免疫細胞(主に腸管マクロファージ)と腸管上皮細胞がどのようにコミュニケーションをし、傷害を受けた腸管粘膜を修復するのかを解明するため、GPCRであるBLT1(腸管上皮細胞)とFPR(免疫細胞)に着目し研究を進めている。 2020年度は、COVID-19による影響でミシガン大学での研究活動が大きく制限されたため、遺伝子改変マウスの取得を始め研究計画が大幅に遅延した。ようやくBLT1欠損マウスを実験に使用することが可能となり、予想していた表現型を観察することが出来た。しかし、仮説を証明するために必要なデータをミシガン大学でさらに取得する必要があり、本研究課題の補助事業期間を延長したため、進捗状況はやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
腸管上皮細胞に発現するBLT1が、傷害された腸管粘膜の修復に寄与することを証明するために、腸管上皮細胞の遊走および増殖を制御するメカニズムについて解析を行い、これまでに得られた研究成果と合わせて論文化する。 また、CD11c陽性細胞に発現するFPRの粘膜修復における役割に関する研究については、腸管上皮細胞とCD11c陽性細胞とのクロストークについて着目し研究を進める。これまでに見出したin vivoでの表現型をサポートする実験結果をミシガン大学にて出来る限り取得し、帰国後に不足しているデータを追加する予定である。
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Research Products
(2 results)