2021 Fiscal Year Research-status Report
A Research of Epithelium-Immune Interaction during Mucosal Repair in Inflammatory Bowel Disease
Project/Area Number |
17KK0166
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
林 周作 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (10548217)
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Project Period (FY) |
2018 – 2022
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Keywords | 粘膜治癒 / 炎症性腸疾患 / 腸管上皮細胞 / GPCR / 大腸オルガノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の10月まで、ミシガン大学のAsma Nusrat教授のラボで研究を実施した。Nusratラボでは、傷害を受けた腸管粘膜の修復制御における腸管上皮細胞や粘膜に存在する免疫細胞に発現するGタンパク質共役型受容体(GPCR)の病態生理学的役割を明らかにするプロジェクトを進めている。腸管上皮細胞上のGPCRではロイコトリエンB4(LTB4)の受容体BLT1、CD11c陽性免疫細胞ではホルミルペプチド受容体FPRの役割について研究を実施した。 BLT1プロジェクトは、ヒトおよびマウスの腸管上皮組織由来のオルガノイド、遺伝子改変マウス、炎症性腸疾患(IBD)のサンプルを用いてin vitro、in vivo実験を行い、以下のことを見出した。1)腸管上皮細胞はBLT1を発現しており、その発現は傷害後の粘膜修復時に上昇する。IBD患者の腸管粘膜では上皮細胞におけるBLT1の発現レベルが、正常な腸管粘膜に比べて上昇している。2)LTB4/BLT1経路は腸管上皮の損傷修復を制御している。3)BLT1の活性化は、腸管上皮細胞の遊走と増殖を促進する。4)BLT1は、in vivoでの腸管の粘膜修復に寄与する。これらの研究成果は、腸管上皮細胞に発現するBLT1が、上皮細胞の遊走促進を介して傷害された腸管粘膜の修復を制御することを明らかにし、LTB4/BLT1 axisが寄与する腸管粘膜修復の新規メカニズムを示した。 FPRプロジェクトについては、CD11c陽性細胞特異的にFPRを欠損した遺伝子改変マウスを用いて、CD11c陽性細胞に発現するFPRが、in vivoでの腸管の粘膜修復に寄与することを見出した。 2021年11月に帰国後も継続してNusrat教授らとBLT1プロジェクトに関する論文作成を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
腸管上皮細胞に発現するGPCRであるBLT1が、傷害を受けた腸管粘膜の修復をどのように制御するのかを明らかにすることを目的に研究を進めている。仮説を証明するために必要なデータを国際共同研究先であるミシガン大学において取得し、論文を作成する目処がついた。しかし昨年度に引き続いてCOVID-19の影響により、ミシガン大学における研究活動が制限された状況であったため、海外への渡航期間を当初の予定に比べて大幅に延長することになった。そこで、帰国後の研究活動で国際共同研究先での研究成果を確実とするために補助事業期間を2022年度まで再延長したため、進捗状況はやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
腸管上皮細胞に発現するBLT1が傷害された腸管粘膜の修復に寄与することを示した研究成果について論文化する。 また、CD11c陽性細胞に発現するFPRの粘膜修復での病態生理学的役割に関するプロジェクトについては、腸管上皮細胞と腸管粘膜に存在するCD11c陽性細胞とのクロストークについて着目し、ミシガン大学のNusratラボとの国際共同研究を継続しながら進める。
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