2022 Fiscal Year Annual Research Report
A Research of Epithelium-Immune Interaction during Mucosal Repair in Inflammatory Bowel Disease
Project/Area Number |
17KK0166
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
林 周作 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (10548217)
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Project Period (FY) |
2018 – 2022
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Keywords | 粘膜治癒 / BLT1 / 腸管上皮細胞 / 遊走 / GPCR |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、Asma Nusrat 教授らとの国際共同研究の成果である、傷害された腸管粘膜の治癒におけるBLT1受容体の役割を明らかにした研究を論文として報告した。本研究では、腸管上皮細胞のBLT1受容体が傷害された腸管粘膜の治癒を促進する役割を担うことを発見した。また、炎症環境下では、腸管上皮細胞でのBLT1受容体の発現が上昇し、BLT1受容体の活性化は腸管上皮細胞の遊走を促進することを明らかにした。 本研究プロジェクトは、炎症により傷害を受けた腸管粘膜が治癒する過程において、腸管マクロファージなどの腸管粘膜に局在する免疫細胞が、腸管上皮細胞とどのようにコミュニケーションをしているのかを明らかにすることを目的に開始した。これまでに、CD206陽性な腸管マクロファージを除去したマウスでは、大腸炎発症後の治癒反応が遅延することを見出した。 特に、国際共同研究では、炎症収束因子であるResolvin E1が腸管上皮細胞に発現するBLT1受容体を介して、粘膜治癒を促進することを明らかにした。さらに、炎症収束因子であるChemerinの受容体であるCMKLR1は腸管上皮細胞に発現しているとされていたが、私たちの研究チームは、CMKLR1が腸管上皮細胞に発現しておらず、腸管粘膜の免疫細胞に発現し、粘膜治癒に関与することを示した。また、CD11c陽性細胞に発現するホルミルペプチド受容体FPRが、生体レベルでの炎症後に起こる腸管粘膜の治癒に寄与することを見出した。 これらの研究成果は、複雑な粘膜治癒イベントの解明に貢献するものであり、粘膜治癒の達成が再燃予防の鍵となる炎症性腸疾患に対し、Gタンパク質共役型受容体を標的とするような有用で新たなコンセプトを持つ治療戦略の創出への応用が期待される。 今回の国際共同研究を通して、ミシガン大学を始めとする国際的な研究人脈を築くことが出来た。
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