2020 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the mechanism of arrhythmia in myocardial infarction in an organ-on-a-chip
Project/Area Number |
17KK0168
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高橋 賢 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 研究准教授 (50432258)
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Project Period (FY) |
2018 – 2020
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Keywords | 心筋梗塞 / 脳梗塞 / 腎臓移植 / 虚血再灌流障害 / 臓器チップ / 補体活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初1年間であった予定を4か月延長し、米ハーバード大Wyss InstituteのDonald E. Ingber教授の研究室でorgan-on-a-chip(臓器チップ)を用いて虚血再灌流障害の研究を行い、臓器チップ研究の技術習得と、国際的研究ネットワーク形成とを行った。帰国後、この臓器チップ上で線維芽細胞および血管内皮細胞との共培養下でヒトiPS細胞を心筋細胞に分化させる、ヒト心臓チップの開発に成功した。 これに加え、臓器チップ上で心筋細胞の収縮量を定量的に測定する方法を開発した他、細胞内カルシウムイオン濃度および活性酸素をリアルタイムで観察する方法を確立した。この成果により、ヒトの臓器を模擬した臓器チップを用いて、薬物の効果検証や病態モデルの開発により疾患の研究を行う道が開かれた。 さらに、CRISPR/Cas9を用いた遺伝子編集により、ヒトiPS細胞において一過性受容器電位チャネルの一種であるTRPM4チャネルの発現抑制に成功した。両アレル変異によるTRPM4チャネルのノックアウトは、このチャネルが心筋梗塞や脳梗塞などの一因である虚血再灌流障害を増悪するという研究代表者の仮説を検証する上で、極めて重要なステップである。 虚血再灌流障害のモデル確立に関しては、3つの成果があった。すなわち、ヒトiPS由来心筋細胞を低栄養・低酸素環境に曝露して細胞傷害を誘発し、その程度を定量評価する方法の確立。臓器チップの灌流系で過酸化水素を投与し、細胞内活性酸素をリアルタイム観察する方法の確立。および、ヒト血液を灌流した臓器チップを低酸素状態に曝露して組織傷害を誘発し、その程度を定量評価する方法の確立である。 これらの成果は、2020年度に2編の研究論文、1編の総説論文、と5件の学会発表(うち招待講演1件)を生んだ。
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Research Products
(10 results)