2017 Fiscal Year Research-status Report
漢方医薬学と複雑系数理科学の挑戦 ~未病の検出から始まる新たな医療戦略の構築へ~
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17KT0050
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
小泉 桂一 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 准教授 (10334715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥 牧人 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 特命准教授 (30633565)
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Project Period (FY) |
2017-07-18 – 2022-03-31
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Keywords | 未病 / DNB |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、以下の2つのメタボリックシンドロームマウスに関して、2種類の情報・数理的な解析方法で「未病」状態を捉える試みを行った。 1. メタボリックシンドローム自然発症マウス_DNB解析 TSODマウスを経日的(3、4、5、6、7週齢)に体重および血糖値測定を行い、さらに各種組織を回収した。この組織より定法にしたっがてRNAを抽出し、さらにDNAマイクロアレイにより遺伝子の発現強度を網羅的に測定した。その結果、本モデルマウスで糖尿病の発症時期(血糖値が200 mg/dL以上)は、7週齢であることが分かった。次に、この遺伝子発現データ(脂肪組織)に対し、連携研究者の合原らが開発した動的ネットワークバイオマーカー解析(DNB)を行った。その結果、上記マウスモデルにおける「未病」状態のタイミングが5週齢で確認された。このDNB遺伝子は、約150個で構成されていることが明らかになった。 2. 高脂肪食摂餌によるメタボリックシンドローム発症マウス_超早期の発現変動遺伝子解析 マウスに高脂肪食摂餌後の超早期に、経日的(3、4、5、6、7日)に体重および血糖値測定を行い、さらに各種組織を回収した。この組織より定法にしたっがてRNAを抽出し、さらにDNAマイクロアレイにより遺伝子の発現強度を網羅的に測定した。その結果、高脂肪食摂餌後3日目に普通食摂餌群と比べて、特異的な遺伝子群が検索された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究において、メタボリックシンドローム発症時点より早く、DNB理論に基づく「未病」状態を検出できた。また、この「未病」状態を表現するDNB遺伝子群も検索できた。さらに、高脂肪食摂餌後の超早期の段階において、特異的な遺伝子群を検索できた。来年度は、これら遺伝子群の生理学的な意義を明らかにできることからも、本研究は順調に開始できたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
漢方薬の「未病」に対する効果の解析:同定された「未病」規定因子に対し、一般に肥満症に対して用いられている防已黄耆湯、防風通聖散などの漢方薬が及ぼす影響を調べる。
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Causes of Carryover |
1年目の研究計画が順調に進んだため、技術補佐員を介して行う予定であった実験を回避することができた。生じた当該助成金と次年度分として請求した助成金を合わせて有効利用することで、3年目以降に計画していた実験の一部を、次年度に行う。
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