2020 Fiscal Year Research-status Report
漢方医薬学と複雑系数理科学の挑戦 ~未病の検出から始まる新たな医療戦略の構築へ~
Project/Area Number |
17KT0050
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
小泉 桂一 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 教授 (10334715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥 牧人 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 特命准教授 (30633565)
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Project Period (FY) |
2017-07-18 – 2022-03-31
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Keywords | 未病 / DNB / メタボリックシンドローム / 漢方薬 / 防風通聖散 |
Outline of Annual Research Achievements |
未病として知られている疾病前状態は東洋医学の概念であり、その状態の科学的な解明が求められている。現在我々は、発症過程おける遺伝子発現などの生体情報がゆらぐ状態を未病状態とみなし、その生物学的意味の解明を行っている。昨年度我々は、複雑系数理科学理論であるDNB解析により、メタボリックシンドローム発症マウスの未病状態を検出した1。この未病状態では147個の遺伝子(DNB遺伝子)のゆらぎが確認されている。本年度は、抗肥満薬として汎用されている漢方薬(防風通聖散)をメタボリックシンドローム発症マウス投与し、脂肪組織の発現遺伝子に対してDNB解析を行った。その結果、147個のDNB遺伝子のゆらぎの包括的な減少が明らかとなった。次に、147個のDNB遺伝子とその後に増加または減少する発現変動遺伝子(DEG)とのネットワークをSTRING (Search Tool for the Retrieval of Interacting Genes/Proteins) により解析した。その結果、DNB遺伝子とDEGで構成される5つのサブクラスターが確認された2。
1.Koizumi K., et al., Sci Rep. 2019. 24;9(1):8767. 2.Koizumi K., et al., Evid. Based Complement. Alternat. Med., 2020: 9129134, 2020. doi:10.1155/2020/9129134.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由 本年度は、昨年度までに検出したメタボリックシンドローム発症マウスの未病状態は、漢方薬の投与で改善されることが明らかとなった。漢方薬は未病を改善することが古来より言われているが、その可能性を本結果は示唆していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度まで当初計画での想定より進展があったことから、次年度は、研究計画を延長して、147個のDNB遺伝子の生物学的な役割の詳細をさらに解明する。
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Causes of Carryover |
技術補佐員を介して行う予定であった実験を回避することができた。次年度のDNB遺伝子の生物学的な役割の解明に使用する。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Suppression of Dynamical Network Biomarker Signals at the Predisease State (Mibyou) before Metabolic Syndrome in Mice by a Traditional Japanese Medicine (Kampo Formula) Bofutsushosan2020
Author(s)
Koizumi K., Oku M., Hayashi S., Inujima A., Shibahara N., Chen L., Igarashi Y., Tobe K., Saito S., Kadowaki M., Aihara K.
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Journal Title
Evid. Based Complement. Alternat. Med.
Volume: 9129134
Pages: 9129134
Peer Reviewed