2022 Fiscal Year Annual Research Report
Manzai dialogues as social heterophony: Toward understanding the suprasegmental features of Open Communication
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17KT0143
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
岡本 雅史 立命館大学, 文学部, 教授 (30424310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪田 真己子 同志社大学, 文化情報学部, 教授 (10352551)
細馬 宏通 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (90275181)
大庭 真人 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 研究員 (20386775)
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Project Period (FY) |
2017-07-18 – 2023-03-31
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Keywords | マルチモーダル情報 / 応答と反応 / 漫才対話のリズム構造 / リモート漫才 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度となる今年度は、これまでの研究成果のアウトリーチとしてオンラインで公開シンポジウムを実施した。全体の趣旨としては、ボケとツッコミという異なる役割の組み合わせから生まれるおかしみ、演者の身振りと発話が織りなすマルチモダリティ、演者と観客の相互作用が支える一体感等の漫才が有する様々な論点について考察することで、従来の言語・非言語研究やコミュニケーション研究に新しい視座を提供することである。 具体的には、代表者岡本は〈応答〉と〈反応〉に関するGoffman(1976)の議論をオープンコミュニケーション的に拡張することで、漫才とコント、さらには対話型YouTuberまでを一貫した視座で分析する枠組みの構想を図った。次に分担者阪田は、漫才対話を実現するマルチモーダル情報の動的変化に着目し、観客の存在がツッコミの視覚的インタラクションとボケの聴覚的インタラクションに影響を与えることを示し、漫才対話のリズム構造が漫才師の顔や身体による一定のリズムを基盤として発想や笑いによる漫才スタイルを確立させる上位のリズムを構成する重層的構造になっていることを明らかにした。一方、分担者大庭は、本研究課題で収録した映像データに基づく心拍の定量的観察から観客と漫才師のリズムがどのように相互作用しているのかを実証的に解明した。そして分担者細馬は、漫才対話の時間的構造を対面とオンラインで対比することで、後者ではシステム固有の送受信遅延が対面で想定される演者間の調整や意図的な重複を困難にしつつも、漫才師はそうした遅延に基づく長過ぎる間を相互調整すると同時に身体表現を変容させ、困難さを調整する営み自体をエンターテインメントに回収していることを明らかにした。 本シンポジウムは最終的に166名の参加者を得て、充実した議論を行うことができ、事後アンケートでも本研究課題に対する関心の強さを改めて確認することとなった。
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Research Products
(9 results)