2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18019001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
本間 さと 北海道大学, 大学院医学研究科, 助教授 (20142713)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 真行 富山大学, 理学部, 助教授 (10288053)
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Keywords | 生理学 / 神経科学 / 視交叉上核 / 時計遺伝子 / 分子イメージング / 生物発光 |
Research Abstract |
視床下部視交叉上核(SCN)に局在する生物時計は、多数のリズム発振細胞より構成される。生理機能の季節性調節も生物時計の重要な機能であり、そのメカニズムとして、朝日と夕日に同調する二振動体モデルが提唱されているが、局在は不明である。本年度は、生物発光レポーターマウスを用い、日長をコードする生物時計機構を検討した。 3種の明暗条件で飼育したマウスのSCNスライスを作成し、連続5日間発光リズムを測定した。また、冷却CCDカメラにて単一SCN細胞における発光を連続撮像した。 同一マウスから採取した吻側、尾側連続2枚のSCNスライスは、LD(明暗)12:12、LD6:18では主観的明期にピークをもつ明瞭なPer1発現リズムを示し、尾側ピークが常に吻側よりも前進していた。また、両ピークの間隔は短日ほど狭かった。一方、LD18:6では吻側SCNは明瞭な二峰性リズムを、尾側は一峰性のリズムを示した。各LD条件下のPer1ピーク位相は、日長に関わらず、吻側ピークが活動開始位相と、尾側ピークが終了位相と一定関係にあった。朝方のPer1ピークは、活動開始、終了のどちらの位相とも相関しなかった。 CCDカメラによる一細胞解析では、発光測定可能な細胞はすべて明瞭なサーカディアンリズムを示し、LD18:6の吻側SCNには朝方にPer1ピークをもつ細胞群と、夕方にピークをもつ細胞群の2群があることが分かった。両群の細胞は左右SCNに均等に分布し、分布領域は重なっていた。 以上の結果、マウスでは夕日に同調して毎日の行動開始を決めるE振動体が吻側SCNに、朝日に同調して行動終了を決めるM振動体が尾側SCNに存在し、吻側SCNに光をコードすると考えられる第三の振動体が存在する。これらの振動体は、振動細胞ネットワークを形成し、日長に応じて位相を変え、季節に伴う日長変化に行動リズムを適合させていることが示唆された。
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Research Products
(16 results)