2006 Fiscal Year Annual Research Report
状況と発声の統合から意味の創出へ:原型言語の脳機構
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18019040
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岡ノ谷 一夫 独立行政法人理化学研究所, 生物言語研究チーム, チームリーダー (30211121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入来 篤史 独立行政法人理化学研究所, 象徴概念発達研究チーム, チームリーダー (70184843)
時本 楠緒子 独立行政法人理化学研究所, 象徴概念発達研究チーム, 基礎科学特別研究員 (10435662)
上北 朋子 独立行政法人理化学研究所, 生物言語研究チーム, 研究員 (90435628)
沓掛 展之 独立行政法人理化学研究所, 生物言語研究チーム, 基礎科学特別研究員 (20435647)
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Keywords | 発声制御 / 系列操作 / デグー / 電気刺激 / 動作系列 |
Research Abstract |
ヒト言語への前適応となる重要な下位機能として発声制御、系列操作が挙げられる。発声制御は呼吸を自発的に制御する必要から生じたと思われる機能である。系列操作は複雑な行動の順序を獲得する必要から生じた機能で、ここから文法が可能になったと考える。これら、二つのモジュールについて言語を持たない社会性齧歯類デグーを用いて、その脳機能を明らかにすることを目的として以下の実験を行っている。 (1)発声制御:電気刺激実験を行い、発声制御系の中心領域である中脳水道灰白質および上位領域の1つである帯状回で誘発された発声パターンを記録した。中脳水道灰白質の刺激では、デグーの日常的な発声の多くが誘発されたが、求愛歌を誘発することはできなかった。誘発された発声パターンに、雄雌差は見られなかった。また、新たに道具使用訓練を行い、デグーが特定の場面で自発的に発声を行うことを確認した。 (2)系列操作:タッチパネルシステムを用いた動作系列課題の開発を行なった。デグーに対しスクリーン上に提示された図形刺激に対しタッチし報酬を得る訓練を行なった。左右にランダムに提示される刺激を追従することを連続強化し、2つの異なる強化スケジュールで本訓練を実施した。本訓練では、実験者が任意に決めた順序で2項目系列の生成を訓練した。部分強化群に対し、FR2スケジュールでの訓練を20日間行い、その後項目逆転テストを行なった。長期間の訓練にも関わらず、成績はチャンスレベルを維持した。逆転テストの結果、デグーは報酬に近い2項目目への固執反応が出現していたことが明らかになった。連続強化群に対し、同様の訓練を行なったところ、5日間の訓練で正反応率が90%に達した。連続強化スケジュールでは、前項目と異なる位置へのShiftと同じ位置へのStayを含むより長い項目の動作系列の生成も可能であることを確認した。
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Research Products
(2 results)