2007 Fiscal Year Annual Research Report
状況と発声の統合から意味の創出へ:原型言語の脳機構
Project/Area Number |
18019040
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岡ノ谷 一夫 The Institute of Physical and Chemical Research, 生物言語研究チーム, チームリーダー (30211121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入來 篤史 独立行政法人理化学研究所, 象徴概念発達研究チーム, チームリーダー (70184843)
時本 楠緒子 独立行政法人理化学研究所, 象徴概念発達研究チーム, 基礎科学特別研究員 (10435662)
上北 朋子 独立行政法人理化学研究所, 生物言語研究チーム, 研究員 (90435628)
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Keywords | デグー / 状況依存的発声 / 海馬 / 中脳水道灰白質 / 社会行動 / 求愛歌 |
Research Abstract |
社会性齧歯類デグーは豊富な音声レパートリーを有し,約20種類の音声を状況別に使い分けコミュニケーションをする。デグーの発声中枢PAGの電気刺激実験の結果から、状況依存的発声はより上位の領域において制御され,特定の文脈における適切な発声が可能になっていると考えられる。学習・記憶研究において,海馬は文脈認知の有力な候補であるが,発声と海馬の関与は未だ明らかでない。文脈依存的な発声行動における海馬の役割を明らかにするため,海馬損傷を施した個体の発声の変化を飼育場面と求愛場面において検討した。海馬損傷個体において歌頻度が減少し、求愛開始時に特徴的な導入行動が欠落するなどの歌の変化が見られたほか、機能の異なる音が求愛歌中に出現した。求愛行動に関しても、海馬損傷個体では雌の拒絶の発声にも関わらず、雌に対する接触行動が増加した。また、海馬損傷個体では、同性個体に対しても接触頻度が増加し、喧嘩頻度の増加がみられた。ただし、海馬損傷個体が喧嘩の開始をすることはなく、他個体の拒絶にも関わらず接近行動を繰り返すなど、対他個体への反応様式の変化が喧嘩を誘発する傾向があった。親和行動に関しては、グルーミング行動や他個体に寄り合って寝る行動の減少がみられた。物体に対する馴化や新奇物体の認知に関しては、海馬損傷個体に異常はなかった。これらの結果から、海馬が音声・非音声コミュニケーションにおける状況の認知に寄与していることが示唆された。
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Research Products
(10 results)